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2012.02.28 / 建築と住まいの話

「二宮の家」 完成見学会の見どころ

今週末、3月4日に完成見学会を行う「二宮の家」について解説します。

この住宅は、当社のコーディネーターである三瓶の祖母が暮らすお住まいです。
敷地には、現在は使われていない古い家と、叔父夫妻が住んでおられる増築住居が建っていました。

今回の計画は、古い家の方を壊して新居を建て、「おばあさま」をお迎えするプロジェクトです。

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この住宅のコンセプトは大きく分けて2つあります。

一つは、一人暮らしのお年寄りの家でありながら、大勢の親戚が集まる家であること。

お年寄りが暮らす家は、階段の昇り降りがない平屋建てにするのが理想なので、LDK・寝室・水廻りなどがワンフロアに収まるバリアフリーのプランにしました。

リビングや寝室を日当たりのよい南側にするのは当たり前のことですが、一日中、家の中で過ごすことが多いお年寄りの家では特に大切なことです。
特に身体が不自由になってしまったら、寝室がリビングの役割も果たすことになるので、若い人以上に気を配ります。

お正月、お誕生日など親戚が集まることも多いご家族ということで、用途に応じてセッティングを変えられるように、上げ床式の畳スペースを設けました。
少人数の集まりではダイニングテーブルを囲み、大勢集まれば、椅子がなくても大丈夫な床座へと拡張します。
そのためテーブルの高さが揃うように、畳の高さは椅子の高さに合わせています。

この畳スペースは泊まり客の寝室にもなり、用途を限定しない畳敷きの長所が十分に発揮されます。

また、将来は叔父夫婦(おばあさまにとって息子夫婦)との同居も想定し、2階に寝室とセカンドリビングを設えました。
建物は相模湾を見下ろす海辺の高台にあるため、2階からの眺めが素晴らしく、トイレと洗面も備えたゲストルームとして、親戚の方々からも人気を博すことでしょう。


もう一つのテーマは、明治・大正期の住宅建築のように日本と西洋の要素を織り交ぜたこと。

大正生まれの「おばあさま」にも違和感なく受け入れられるように、和洋折衷の「大正浪漫」をイメージして、当社の三瓶がデザインを監修しました。

手本にしたのはアメリカの建築家フランク・ロイド・ライト。
F・L・ライトはプレーリースタイル(草原住宅様式)と呼ばれる、大地を這うような自然と一体化した住宅を数多く設計しました。

彼自身の建築は装飾性が高く、決して和洋折衷という訳ではありませんが、日本人の感性にも響く建物だと思います。

日本国内にも建物が残っていて、旧帝国ホテル(愛知県の明治村に移築保存)、
自由学園明日館(東京都豊島区)、淀鋼迎賓館(旧山邑邸:兵庫県芦屋市)などが有名です。

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外観では軒の水平ラインが特徴的なため、通常の「切妻」屋根をやめて「寄棟」屋根を採用しました。
どの方向から見ても軒が水平に回るため、屋根の存在感が弱められ、いい意味で「和」を感じません。

さらに、軒先や窓周囲のフレームをアクセントカラーの淡いグリーンで彩り、装飾性の高い鮮やかな印象をつくっています。

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室内では、出入口の周囲に化粧枠を回したり、窓の高さや腰の高さに付長押(化粧材)を回しました。
さらに漆喰やクロスのクリーム色の壁に対してアクセントになるよう、その木部に経年変化したような茶系の塗装を施しています。

また三瓶は、「おばあさま」のためにインテリアコーディネーターとしての能力をフルに発揮し、照明器具の選択にも熟考を重ね、建具にステンドグラスを嵌め込んだり、ウィリアムモリスのクロスを選んだり、カーテン・ブラインドや家具選びまでトータルにコーディネートしました。

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当社の標準的な住宅で感じられる、「ナチュラル」や「和」というイメージとはひと味もふた味も違った、神奈川エコハウスの「プレーリースタイル」をぜひご覧ください。

岸 未希亜

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