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2012.03.29 / 建築と住まいの話

餅投げ上棟

昨秋にお伝えしたアースデザインオフィスでの設計案件2棟が上棟を迎えました。

一つ目は長野県千曲市の住宅です。
昨夏にはプランがまとまっていましたが、工務店のスケジュールの関係で今年に入って本格的に始動し、この日を迎えました。
その間に奥様のおなかに3人目の生命が宿り、
「子供部屋が足りなくなった」というのも実に微笑ましいエピソードです。

実は子供部屋2室と広いスタディコーナーを用意しているので、物理的には部屋を
3つにすることが可能です。この事態を予感していたとすれば正に神がかり!(笑)
しかしこの豊かなスタディコーナーを有効に使いながら、夫婦の寝室と
2室の子供部屋をうまく使い回してもらえるといいかな、と思っています。


もう一つは岐阜県多治見市の住宅です。
エアサイクルグループの工務店である同社のモデルハウスを兼ねたご自宅で、
子育て真っ最中の家族4人が暮らします。
こちらは初めから3人目のお子様も想定して設計しているので、
いつ子供が生まれても心配ありません(笑)

当社やサン住宅のモデルハウスのような「和モダン」の意匠を身にまとい、さらに実際の暮らしが営まれるという点で、見学する人の心に響くモデルハウスになることでしょう。

tajimi.jpg  ガレージの屋根が一体となった外観             南側の外観

今回の上棟に際しては大きなイベントが企画されました。
それは「餅投げ」です。これは上棟式などの神事に際して集まった人々に
餅を投げる行事で、他の地域では「餅撒き」とも呼ばれています。

岐阜県の東濃地方には根強く残る習慣で、多治見でも20年以上前には頻繁に行われていたようですが、建売住宅や大手ハウスメーカーの家が増える中で上棟式自体が減少し、最近はほとんど見かけないとのこと。

古来より日本人は、おめでたい行事には必ず餅を投げて多くの人々にその福を振る舞い、人々の幸せを願ってきたそうです。
建物新築の棟上げでは、親類や近所の方々が集まり、その建物のお披露目の意味を込めて施主や大工が屋根の上や二階から餅やお菓子、おひねり等を投げます。

今回用意したお餅は1350個もの数です。50個の紅白餅と蓋餅といわれる大きな餅が1セットになった桶が、実に27桶もありました。

mochi1.jpg

餅の他には、施主の名前の入ったタオル100本、お菓子60個、おひねりを少々投げました。
集まった人の数は総勢200名を超えました。ご近所の人が多く集まったのに加え、
施主の知人や親類が岐阜市など、かなり離れた所からも参加したためです。

そして始まるまでは穏かな雰囲気のおばさん達が、
餅投げが始まった途端、もの凄い勢いで餅を拾いまくります。

人間の中にある「欲」に火が着くらしく、誰もが必死になって拾いまくる姿は壮観です。施主が後で聞いた話では、4人家族で50個の餅を拾った人がトップだったとのこと。
誰が考えたのか分かりませんが、非常にエキサイティングなイベントであることは間違いありません。

mochi2.jpg
mochi3.jpg

と、ここまでいかにも自分が見たようにレポートしましたが、
実はこの光景を生で見ることができませんでした。

なぜならこんな日に限って新幹線では珍しい人身事故が起きて、新横浜駅で長時間足止めを食らったからです。
しかし運転再開となって、開始予定時刻に20分遅れぐらいで着くことを伝えても、「餅投げ」は待ってもらえませんでした。
30人ぐらいの人が集まるだけだろう、と考えていた私は単純に「待ってくれてもいいのに」と思ってしまいましたが、現場に着いて人の多さに驚き、そして納得しました。

ちょうど「餅投げ」が終わって続々と帰って行く人の群れを目の当たりにし、
貴重な場面を見逃したことの後悔が一晩中残ったのは、言うまでもありません。

岸 未希亜

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