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2014.04.23 / 建築と住まいの話

茅ヶ崎Y邸 完成見学会の見どころ

日曜日に開催した「鎌倉S邸」の見学会には5組のお客様が来場されました。
皆様、採光・通風を得るために設けた中庭のある間取りをはじめ、ヒノキの香りや細部の工夫などに感心していました。

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それでは、4月27日に完成見学会を行う「茅ヶ崎Y邸」の見どころについて解説します。

当地で独り暮らしをされていた高齢のお母様を気遣い、しばしばご実家に足を運ばれていたご兄妹が、「お母様のために暮らしやすい家を建てよう」とご決断され、実家の建替えをすることになりました。その際、10年以上前から神奈川エコハウスの家づくりに注目してくださっていたご長男様の希望で、当社が計画をお手伝いさせていただくことになったのです。

家を建て替える最大の目的は、高齢のお母様が安心して暮らせることなので、お母様のライフスタイルや使い勝手を考えた計画になっています。
テーマはずばり「高齢の母が安心して暮らせる家」です。

一つ目の特長は、お母様の寝室を家の中心に配置したことです。

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お年寄りになると筋力が衰えるため、移動が負担になることは言うまでもありません。また夜中に目が覚めてトイレへ行くことも多くなるので、トイレや洗面所が寝室の近くにあることは重要です。
この家では玄関から短い廊下を経てすぐ寝室があり、廊下に面したトイレ、洗面所、浴室への動線も短くなっています。そしても一つの引戸を開けると、すぐ隣にあるリビングへと移動できます。

二つ目の特長は、程よい広さの使いやすいLDKです。

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ここで暮らすのは、お母様、そのご長男、その2人のお子様(お母様にとっては孫)ですが、4人は各々の生活が確立されていて、同居であっても全員が集まる機会はそう多くないことが予想されます。
また、食事や身の回りのことはご自分でされるお母様なので、リビングやキッチンで過ごす時間もお母様が一番長くなります。したがってLDKは、お母様が動きやすいように程々の大きさにしました。キッチンは対面の必要がなく、これまでの家がそうだったように使い慣れた壁向き型を選択し、造り付けの食器棚を設え、その奥には勝手口のある食品庫を併設しています。

三つ目の特長は、多目的な使い方のできる和室の存在です。

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ご主人には弟と妹がいますので、お母様を訪ねてこの家に泊まることがあります。その際に客間となるのがキッチンの南側に張り出した和室です。普段使わない客間が日当りの良い南側にあるとすれば勿体ないのですが、近所のお友達と集まる機会も多いお母様のため、日中はリビングとして使えるように掘り炬燵を設けました。
襖を引き込むとリビング・ダイニングとの連続性が生まれ、家が広く感じられますし、板の間のリビング・ダイニングを小さめにしたのも、和室が普段使いできる畳リビングになっているからです。

設計で他に気を付けたのは建物の形と配置です。

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敷地の東側にはコンビニエンスストアがあります。駐車場からの視線に晒されるとともに、夜は店舗や看板の電飾が眩しいため、和室のある平屋部分を盾にする形で、平面を雁行させました。リビングやお母様の寝室からは、隣からの視線を気にすることなく庭を望むことができます。

また2階には3つの個室(寝室)がありますが、ご主人の部屋は寝室というよりライブラリーです。

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CD、DVD、漫画のコレクターであるご主人のため、個室は壁一面が棚になっている図書室のようなスペースにしました。自分のコレクションに囲まれて過ごせるご主人を、皆様もきっと羨ましく感じるはずです(笑)

リビングのベンチソファとテーブルは無垢板を使った注文家具で、県内の家具職人による手造りです。一方、ダイニングチェアはお施主様が使われていた椅子の座面を張り替えて再生しました。
テーブルセンターには、louis poulsen(ルイスポールセン)のPH5という有名なペンダント照明を吊り下げますが、これまたお施主様が愛用されていた照明です。
家は新しく快適になりますが、馴染みのある物や景色に囲まれて暮らすことも、居心地のよさにつながると思います。

岸 未希亜

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