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2014.07.25 / 建築と住まいの話

二宮H邸 完成見学会の見どころ

7月27日に完成見学会を行う「二宮町H邸」の見どころについて解説します。

この住宅は、都市部では珍しい「平屋」のお住まいです。敷地や予算の制約から2階建ての住宅を建てるのが一般的な昨今ですが、「正方形に近い120坪の土地で南側道路」という恵まれた敷地条件を最大に活かして、建て主の希望である平屋建ての計画となりました。

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平屋の特徴は何と言っても階段がないことです。当然ながら階段の昇り降りがないため、高齢になっても家の隅々まで使うことができます。また、全ての部屋が地面に近い高さなので、開口部の取り方を工夫すれば、どの部屋からも庭(屋外)が身近に感じられます。

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一方で屋根が複雑になるため、設計は難しくなります。総2階の住宅であれば、単純な長方形プランでも採光・通風が得やすいため、屋根形状もシンプルそのものですが、平屋で平面を単純な長方形にすると、中心付近は真っ暗になり、風も抜け難くなるので、住み心地の面で大いに問題です。そんな点にも注目していただけると幸いです(笑)

建て主は、店舗を中心にした建築内装を生業にしている人物です。建築の世界で生きている方なので、自分の住まいに対するこだわりは並々ならぬものがありました。間取りについてもご自分のイメージが幾つかあったので、私としては珍しく(笑)、それを拝見しながらプランをまとめました。

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間取りの特徴は、玄関とLDKが離れていて廊下が長いことです。玄関、和室のゲストルーム、予備室が入る西棟と、LDKと寝室のある大きな東棟があり、洗面室や浴室などの水廻り棟が両者を繋ぎます。水廻りの南側を東西に走る廊下は、デッキに面した大きな開口部があって縁側のようになっており、リビングへと向かう道程において昂揚感をもたらすことでしょう。

また、この家は建て主とのコラボレーションも見どころの一つです。基礎や屋根、大工工事などの主要部分は当社で施工しましたが、電気工事など一部の工事は建て主知り合いの業者が施工する他、クロスや塗装などの室内仕上げは建て主自らが行いました。最大の目的はコストダウンにありますが、わが家を自らの手で仕上げる喜びも大きいのではないでしょうか。

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セルフビルドといってもプロの仕事ですから、出来上がりは見事です。外壁は、いつも吹付け仕上げにしているスタッコフレックスをコテ塗りしているため、温かみのある表情になりました。室内仕上げは左官の漆喰塗りではなく、漆喰のローラー塗り仕上げです。ご本人も初挑戦の仕上げだったため完璧ではないそうですが、見たところ全く問題ありませんでした。

また建て主は常に仕事がお忙しく、打合せの時間を捻出するのも一苦労のようでした。当日の電話で打合せが決まることもありましたし、両者の中間地点である平塚のデニーズによく通ったのも、いい思い出です(笑)
また大工や現場監督の仕事ぶりも評価していただき、改めて施工力に関しても自信を深めることができました。建築業界で働く人からも選ばれる神奈川エコハウスの家を、ぜひご覧ください。

岸 未希亜

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