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2015.11.24 / 建築と住まいの話

構造見学会でのこと

いつもは「完成見学会の見どころ」を紹介していますが、今回は日曜日に開催した構造見学会のレビューをお届けします。

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構造見学会は通常、上棟してから1ヶ月前後の時期に開催しています。上棟後、先ずは木で組まれた柱と梁の接合部(仕口:しぐち)や、梁どうしの接合部(継手:つぎて)を補強金物で緊結します。併せて、筋交や火打梁といった部材を取り付け、耐震性を高めます(耐震等級3にて計画)。同時に間柱(まばしら)と呼ぶ壁の下地材を取り付け、壁と開口部が区別されていきます。万一、抜け節等で断面が小さくなっても大丈夫なように、この筋交や間柱が一般的な木造住宅よりも太いのは当社の特徴です。

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次に、開口部にサッシ枠を取り付けます。当社はアルミ樹脂複合サッシを使用しているので、外枠はアルミ、内枠は樹脂になっています。外張り断熱工法の場合は、続けて壁の断熱材を取り付けます。この家はエアサイクル工法を採用しているので、通気溝を確保できるダイヤカットの専用断熱材を張っています。この断熱ボードは外側にアルミ箔が施されているので、外から見ると一面が銀色ですが、これによって遮熱性の高い構造になっています。

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完成した姿は家によってかなり違いがありますが、構造は基本的に大きくは違いません。したがって、構造見学会は1度見ていただければ十分です。逆に、大きく変わらないことが大切であると言うこともできます。
それでも目が肥えてくれば、構造見学会でも建物の違いが見えてきます。
分かりやすいのは断熱材です。エアサイクル工法とそうでない外張り断熱の違いがありますし、セルローズファイバーや羊毛等の充填断熱を採用する場合は、施工方法も全く違います。
木にも違いがあります。真壁(構造を見せる)と大壁(構造を見せない)では使っている柱や梁の節の量が違います。室内を主に真壁にしている当社では、節の少ない綺麗な木材が多く使われているのも特徴です。
また、この住宅は平屋のため、5寸角(15cm角)の通し柱はありませんが、代わりに家の中心付近に太くて立派な柱があります。見学者の目にも止まり、「これは何ですか」と質問が出ました。

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建て替え前、ここには築100年になろうかという古い家がありました。古い家に使われていたケヤキの大黒柱(7寸角)を再利用できないかということで、大工が歪みを矯正して表面を削り、約6寸角の柱に生まれ変わって新しい家に引き継がれたのです。差鴨居のホゾ穴も綺麗に埋めてあります。

また建て主は、工事中も仮住まいに移らず、古い家の一部を解体せずに残して住んでいます。多少の不便はあるようですが、工事の進捗を毎日見られるのは楽しいそうです。この日も出て来てくださり、見学者に「驚いたことがある」と自らの体験談を話してくださいました。
それは、解体工事に始まり、地盤補強工事、基礎工事、大工工事と進む中、「業種が変わり、来る人(職人)が変わっても、誰もが礼儀正しく、かつ丁寧な仕事をする」ということでした。

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いくら知名度が高くても、宣伝が上手でも、あるいは見た目が良くても、それだけでは会社を選ぶことはできません。現場で実際に家をつくる人たちや、造られた家の品質は、建て主にとって最も大切な部分です。

私たちの努力不足もあって、これから家づくりを始める方々に、この大切な部分がなかなか上手く伝えられていませんが、飾りのない素直な建て主の感想は、見学者の心にも響いたようです。

岸 未希亜

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