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2017.02.02 / 建築と住まいの話

エアサイクル視察研修

先週1月26日に、北関東でエアサイクルグループの視察研修会があり、当社の井上君と一緒に参加しました。エアサイクルを搭載した注目の住宅を見学し、講演会・懇親会を通じて情報の共有と交流をはかる研修会です。

集合場所は熊谷駅(埼玉県熊谷市)だったので、東京から新幹線に乗るのが一般的ですが、朝の通勤ラッシュに重なるため、JR上野・東京ライン(東海道線・高崎線)のグリーン車で座って行くことにしました。しかし通勤時間帯はグリーン車も混んでおり、藤沢駅で座席が確保できた時はホッとしました。

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熊谷駅からは、貸し切りのバスに乗って埼玉県ときがわ町へ移動しました。初めに訪れたのは、建築家・中西ヒロツグ氏が設計し、地元の松本建設が施工した住宅です。ときがわ町は県の中西部に位置する人口1万1千人の田舎町ですが、松本建設はこの地を中心に施工実績を延ばし、グループでも注目の工務店です。中西さんは、全国大会での講演やデザイン塾での講師、フォトコンテストの審査員として、エアサイクル加盟工務店のために尽力してくださっている建築家で、昨年終了したテレビ番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」に何度も登場している「匠」です。

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4人家族が暮らす約35坪の住宅は、大きさをあまり感じさせない平屋の建物で、外壁は南北面が漆喰塗り、東西の妻面は焼杉板張りというシックな外観です。切妻屋根の中央を片流れ屋根にして、採光・通風のためのハイサイド窓を設けてあり、中央が暗くなるとともに、風通しが悪くなりがちな平屋の欠点を補っていました。リビング・ダイニングからロフトにかけての勾配天井が、リズミカルかつすっきり見えるのは登り梁構造のためです。それ自体は見慣れた形なのですが、登り梁を見せていない両サイドの小屋裏で換気していることを知り、感心しました。「登り梁ではエアサイクル工法の小屋裏換気ができない」と諦めていたので、これは大いに参考になりました。

次の目的地である群馬県前橋市へ移動する際、関越自動車道を北上する車窓から、煙を上げる真っ白な浅間山が見えました。軽井沢や長野へ行く時、自分で運転して何度も走っている高速道路ですが、浅間山を見た覚えがなかったので、とても新鮮な感じがしました。

そして次に訪れたのは、エアサイクルを搭載した規格住宅「木-Lism」の第一号で、地元の立見建設が期間限定モデルハウスとして建設したものです。この「木-Lism」については別の機会に詳しく紹介しますが、フクビから依頼を受けて、アースデザインオフィスで設計した規格住宅です。プランが異なる2つの家を計画し、設計図も2種類作成しました。今回見学したのは、1階が16.75坪、2階が15.75坪(小さな吹抜け含む)というtype157の住宅です。

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外観は神奈川エコハウスがつくる家とよく似ています。地域による気候の違いはありますが、全国的にも雨や雪が多く、夏の日差しを遮るためにも、勾配屋根と深い軒は必然性のある形です。そうした家は全国に多くあり、一見すると特色が無いように感じるかもしれませんが、それこそがわが国で永く培われてきた普遍性だと思います。
内部は外周部分の柱を隠した大壁にしました。当社のように真壁にすることで、他にはない特徴は出せると思いつつ、多くの工務店が活用するためには、大壁の方が良いだろうと考えてのことです。それでも、内部の柱や梁が見え、無垢のフローリングの温かみ等もあるので、「木の家」らしさは感じられます。

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また、エアサイクル独自のコラム基礎は床下空間の通気性が抜群に良く、「床下エアコン」と相性が良いということで、この規格住宅にも組み込みました。冬もエアコン一つで家の中が暖かくなれば経済的ですし、施工した立見建設にとっても、一番の目玉と考えている部分です。現在、温度や湿度を測定しているところなので、それらの結果も楽しみです。

その後は高崎市内のホテルへ移動し、講演会と懇親会がありました。講演会は、私と中西さんが各々の設計趣旨などを発表しましたが、メインイベントは懇親会に用意されていました。

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フクビ化学工業の八木社長からの差し入れということで、一度照明が落とされ、スポットライト浴びて「越前ガニ」が登場したのです。本社が福井県にある同社の粋な計らいでしたが、私が登壇した時とは大違いでした(笑)

岸 未希亜

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