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2017年07月21日

大人の修学旅行2017後篇

間が空いてしまいましたが、職人さんとの「大人の修学旅行」をレポートする第二弾です。初日は鹿島神宮から鹿島灘に沿って約50km北上し、水戸市内に宿泊しました。後半は茨城県を回ります。

茨城県と言えば、都道府県の魅力度ランキング(ブランド総合研究所調査)で2013年から4年連続最下位になっていることはよく知られています。調べてみると、都道府県人口は約290万人で意外にも全国11位と上位ですが、人口が分散していて、30万人以上の都市が存在しないのが特徴だとか。県庁所在地の水戸市でも人口約27万人ということで、一極集中していない良さもありそうですが、県内及び他県からの集客力も分散しているのかもしれません。しかし、北海道に次いで農業産出額が全国第2位というのは大きな魅力です。
私たちが水戸を訪れた目的は、江戸時代の水戸藩に触れるためでした。「水戸黄門」で有名な2代藩主の徳川光圀(みつくに)、幕末史に大きな影響を与えた9代藩主徳川斉昭(なりあき)、そして徳川15代将軍の徳川慶喜(よしのぶ)。いずれも水戸が生んだ類まれな頭脳です。当時、藩の魅力度ランキングがあれば、トップ5に入っていたのではないでしょうか?

初めに訪れたのは、旧水戸藩の藩校である弘道館です。1841年に徳川斉昭が開設した弘道館は、藩士とその子弟が学問と武芸を学んだ藩校で、正庁・至善堂という中心施設や正門は創建当時の建物が現存しています(どちらも重要文化財)。

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水戸藩で形成された歴史主義の政治思想は、「水戸学」として全国の藩校でも教えられ、吉田松陰や西郷隆盛をはじめとした幕末の志士たちに大きな影響を及ぼしました。また、「安政の大獄」によって幕府絶対主義を貫いた大老・井伊直弼を暗殺した「桜田門外の変」は、水戸藩脱藩浪士17名と薩摩藩士1名が起こした事件です。この事件を境に幕府の権威が失墜し、尊皇攘夷運動が激化する引き金になったことは有名です。幕末に勇躍する薩摩、長州、土佐、あるいは佐幕派の会津、新撰組などが表舞台で活躍しますが、その下地となる政治思想がこの地で醸成されたと思うと、水戸の凄みを感じることができます。

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しかし水戸藩はあくまで徳川家であり、瓦や畳縁には三つ葉葵の家紋が光っていました。

次に訪れたのは、日本三名園に数えられる「偕楽園」です。私は約25年前に兼六園(金沢)、約15年前に後楽園(岡山)を訪れたことがあるので、今回ようやく日本三名園を制覇することができました。

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徳川斉昭によって創設された偕楽園は、陰陽の調和を図る「一張一弛(弓を張ったり弛めたりすること)」の理論を実行する場として構想され、文武修行の場である弘道館に対し、修行の余暇に心身を休める施設として、藩内随一の景勝地に建設されました。早春には3000本の梅の花が咲きほこる偕楽園ですが、この時期は辺り一面の緑と、ピンクや赤に咲いたツツジの花が綺麗でした。

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園内には好文亭と呼ばれる木造の建物があります。文人墨客や家臣、領地の人々を集めて詩歌や養老の会を催した別荘建築です。昔の建物(空襲で全焼し、戦後に復元)としては珍しい3階建てで、外から見ると異様なプロポーションですが、3階の楽寿楼からの眺めは絶景でした。

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日本三名園である兼六園、後楽園が特別名勝(国宝と同格)に指定されているのに対し、偕楽園は名勝(重要文化財と同格)で規模もやや小さいことから、庭園としての人気はいま一つのようです。しかし近景の偕楽園、中景の千波湖(せんぱこ)や田鶴鳴梅林(たづなきばいりん)、遠景の山並みや太平洋を一望に収める景色は見事で、ビルなどの現代建築が視界に入らないのも最高でした。

水戸から西進して最後に訪れたのは、重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)の「真壁(まかべ)」です。

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真壁は中世以来、約500年間も真壁氏19代が支配してきた地域で、関ヶ原の役後に真壁氏が移封されて間もなく廃城になりますが、木綿、大豆、麦などの栽培が盛んで、織物業・醸造業が発達し、城下町から在郷町へと変化しました。また大正時代に筑波鉄道が開通すると、真壁の花崗岩が東京方面に出荷されるようになり、石材の町としても発展しました。今も見応えのある商家が多く建ち並んでいて、町の周辺には立派な長屋門が幾つも残っています。

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重伝建地区の選定は2010年と新しく、町並み保存に向けての合意形成には時間がかかったようです。現に、古い建物とそうでない建物が混在し、町並みとしての完成度はいま一つ。しかし逆に、価値ある建物を壊さないようにと、登録文化財制度を積極的に利用した結果、真壁町だけで登録文化財が99棟を数えます(重伝建地区内の建物はその約半数)。これは、一つの町村としては日本一の数だそうで、真壁町の御影石を使った石碑が各建物の前に据えられていました。

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月曜日ということもあって観光客はほとんどおらず、近くに香取神宮がある「佐原」とは大違いです。職人さんたちも町並みを隅から隅まで歩く気力は無いので、連れ回す訳にもいかず、皆が昼ご飯を食べている時間を利用して、一人で町の中を歩き回りました。実は昨日の佐原も、昨年の郡上八幡も同じパターンで見学時間を稼いでいるのですが、自分は三度の飯よりも町並みが好きなので、全く苦になりません(笑)

岸 未希亜

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2017年07月12日

横浜戸塚T邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「横浜市戸塚区T邸」の見どころを紹介します。

建て主が初めて来場されたのは昨年の9月。奥様が材木屋に勤める知人から「木造の家を建てるなら神奈川エコハウスも見た方がいい」と言われたのがキッカケだったそうです。そしてコンセプトハウスで説明を聞きながら資料に目をやると、そこに見覚えのある名前を発見して驚いたとのこと。「岸 未希亜」という変わった名前に同姓同名は考え難いので、その日は私と顔を合わせずにそっと帰って行きました(笑)
彼は私の弟の友人で、サッカーを通じて友情を深めた小・中学校の同級生です。私にとっても小・中学校サッカー部の後輩に当たりますし、母親どうしもママ友以上の親しい間柄でした。そんな身近な存在だったので、彼は接触したら断れないと思ったようですが、私から電話をかけて「相談だけでも聞いてあげるよ」と優しく声を掛けました(笑)

建て主はまだ子供のいないご夫婦ですが、将来の子供部屋を用意すること、仏壇を置く畳のスペースが必要なこと、1階に多目的な使い方のできる部屋をつくることが条件でした。

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敷地は3方を家に囲まれた35坪の大きさですが、幸いにも南側に道路があるため、日照や採光の問題はありません。しかし夫婦で車を1台ずつ持っているため、狭い敷地に2台分のカーポートが必要となり、庭やウッドデッキをつくるスペースが取れません。このことがプランを決定付け、「空中デッキのある逆転プランの家」が誕生しました。

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1階の中央に玄関を設けた理由は2つあります。逆転プランの場合、1階には個室や水回りが集まるので、どうしても廊下が必要ですが、玄関が端にあると廊下が長くなってしまいます。逆に1階にLDKがある場合は、玄関が中央にあると空間が分断されるのでNGです。
もう一つの理由は、準防火地域の延焼ラインを避けるためです。防火仕様の窓も高額ですが、玄関ドアはさらに高額なので、2つある玄関を敷地中央に集めてコストを抑えました。アプローチやポーチも1つに集約され、経済的な計画と言えます。

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逆転プランのデメリットの一つが、寝室や子供室を1階にまとめると、子供がリビングを通らずに部屋に行けてしまうことです。そこで、1階には主寝室、多目的室、洗面・浴室、トイレを配置し、子供部屋は2階に上げました。また、多目的室から住居内を通らずにトイレに行ける間取りにしています。

一方、逆転プランのメリットは幾つもあります。

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一つ目は、リビングが2階にあるので採光・日照を得やすいこと。二つ目は、玄関、寝室、水回り等の小さな空間が1階に集まり、1階の壁が多くなるので構造的に強いことです。逆に2階の壁は1階より少なくても良いので、開放的なリビングにすることができます。また、屋根形状を利用した勾配天井等にすることで、さらに気持ちの良いリビングがつくれます。

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三つ目は、道路からの視線が気にならないことです。これは庭や外とのつながりが希薄なことの裏返しですが、1階にハキダシ窓等の大きな窓を設けなければ、防犯的にも安心感があります。四つ目は、キッチンが2階(最上階)にある場合は内装制限がかからず、ガスコンロを使っても壁や天井に木を張ることができる点です。リビング・ダイニングの天井と揃えて、キッチンの天井も杉板張りにしました。

先日、建て主の関係者を集めてオープンハウスを行いました。近所の親しい方、サッカー部の先輩、後輩など9組の方が来場され、建て主にも顔を出してもらってのお披露目会です。木の香りがする、梁が太くて迫力がある、2階の空間が気持ち良いなど、当社の住宅を知らない方々には新鮮な体験だったようです。
家具職人になっているA先輩とは32年ぶりの再会でしたが、彼は天井の隅や鴨居の溝や本棚の造り方など、ふつうの人が注目しない細部に目を凝らしていました。そして「大工もクロス屋も仕事が丁寧だ」とか、「職人の心がこもっている感じが伝わってくる」等、当社の家づくりに関わる職人の仕事を褒めてくれました。これは非常に嬉しい言葉であると同時に、一般の方は比較対象がないので分からない部分でもあります。そこで「来週の見学会にも来て喋ってくれませんか」とお願いしたのですが、断られました(笑)

皆様もぜひ、間取りやデザインや空気感と併せて、職人の丁寧な仕事を見に来てください。

岸 未希亜

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2017年07月06日

福井からの賓客

ちょうど1年前、エアサイクルの全国大会で福井に行った際に、当社と縁の深い「住まい工房」を訪問した話をブログに書きました。住まい工房については、当時の記事をご覧ください。
その住まい工房で設計チーフをされている山祐三さんが、私用で横浜に来られるということで、当社が建てた住宅を幾つか案内することになりました。平日ということ、半日で回らなければならないこと、設計のプロが見ること等から対象を絞り、隙のないぎゅうぎゅう詰めのスケジュールを用意しました(笑)

一軒目に訪問したのは、昨年末に完成した大磯の住宅です。私がエコハウスで設計した住宅としては59棟目にあたり、最近の事例として見てもらうのにちょうど良いお住まいです。先日、写真家と一緒に撮影でお邪魔したばかりでしたし、ご主人はお仕事中、お子様は通学と通園中なので、奥様にはご迷惑かと思いましたが、キラキラした笑顔で迎えていただきました。

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敷地は、角地で通りからのアイストップになるため、非常に目につく場所です。建物だけではなく、外構・庭を含めた敷地全体を「見られること」「周辺環境に馴染ませること」を意識して計画し、潤いのある優しい「場所」をつくることができました。ウッドデッキが広くかつ三段に分かれて下りていくため、庭との一体感が非常に強くなっています。また、庭から上がりやすいので、近所の子供たちが外からデッキに上がって来て「たまり場」にもなっているそうです。山さんからも、建物の色使い、建物と庭との関係を褒めていただきました。

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室内に入ると、玄関収納や建具、真壁と大壁の使い分け、眺めと風通しを考えた窓の位置、階段の位置とその周りの空間等、プロ目線で色々なコメントを頂戴しました。山さんが奥様に「この階段は何気なく出来ているけど、階段の設計は難しいんですよ」というような事を言われ、奥様も興味深く聞いていました。
この大磯の家は、「庭が近づく三段デッキの家」としてホームページの事例紹介に加わります。

次に行く前に、事前にご主人に教えていただいた大磯の「日日食堂」で昼食です。木造トラスの古い建物をリノベーションした雰囲気のある食堂で、野菜中心のヘルシーなランチをいただきました。

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二軒目は、約7年前に完成した平塚の住宅です。私がエコハウスで設計した1棟目の住宅で、住まいの教室等で何度も紹介していますし、何組ものお客様を連れてお伺いしているお住まいです。幼稚園のバスまでお孫さんを迎えに行くタイミングと重なってしまいましたが、ご夫婦の連携でいつもながらの温かいおもてなしを受けました。

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この家は「ステップフロアダイニングの家」と称して、ダイニングを一段高くしてあるのですが、そこは山さんにも珍しかったらしく、関心を寄せて見ておられました。キッチンと目線が揃うのはもちろん、ダイニングの勾配天井が低くなっていて居心地が良い、段差がとても利いているとの講評でした。また、天井には化粧垂木が並んでいるのですが、その垂木と漆喰壁の取り合いが全く空いていないことに驚かれていました。今まであまり注意して見ていなかった私も、改めて見て自分でも驚いたぐらいです。

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LDKのどこにいても窓から庭の緑が目に入り、住宅地とは思えない豊かな自然を感じられるのも、この家の良い所です。造り付けのソファーベンチに腰を下ろし、私も山さんもすっかり寛いでしまいました。福井からのお客様ということで、福井の話題を用意されていた奥様の心遣いにも感謝です。

三軒目は私の自宅です。久しぶりに人に見せるので、前日に自分も多少片付けをし、妻がさらに家を綺麗にしてくれました(笑)。3棟ともエアサイクルの家ですが、自宅だけは当社の標準的な仕様にとらわれずに仕上げ等を選んだので、外観も室内もかなり雰囲気が異なります。エコハウスの上品な雰囲気とは違った「遊び」の要素が多く、山さんもそれをいち早く感じて「意外やったねえ」という感想をもらしました。

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最後にコンセプトハウスにお連れして、弊社社長も加わっての意見交換をすると、時計は午後6時を指していました。大磯駅改札口でお迎えしてからあっという間の6時間でしたが、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。
山さんと私は同じ職場で働いた訳ではありませんが、吉田桂二という同じ師匠の薫陶を受け、私以上にその教えを実践されている良き先輩ですので、これからも刺激し合いながら良い仕事を続けていきたい、と改めて思いました。

岸 未希亜

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2017年06月30日

1年越しの作庭

昨夏に竣工した「敷地に馴染む「くの字」の家」が引き渡しから1年になり、1年点検に同行しました。竣工時、外構は主にカーポートとアプローチの工事にとどめ、庭は殺風景でしたが、庭師の藤木さんと建て主がじっくり計画を練って、約1年後の今月に南側の庭が姿を現わしました。

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道路が緩い坂になっているため、東側では敷地と道路の高低差はほとんどありませんが、南面は敷地が一段高くなっているので土留めが必要です。それをコンクリートやブロックで造るのが一般的ですが、自然石の石積みにすることで表情が全く変わりますね。使われているのは神奈川県の根府川石です。

これは、玄関アプローチから見た庭です。

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ポーチの前にシンボルツリーの百日紅(さるすべり)があって、庭の木々が遠くに見えるので遠近感が強調されています。家の中は見えないように格子壁で目隠しをしつつ、お庭は近所の人にも楽しんでもらおう、という住まい手の心が感じられます。外構や家の外観は、否が応でも近所の目に触れるので、自分だけのものと考えるのではなく、周りへの思いやりも大切ですし、住環境を整える責任もあると思います。
実際に、近所の人や散歩で前を歩く人からも大好評とのことで、藤木さんは早速お庭の仕事をいただいたとか(笑)。ショールームならぬショーガーデンといったところですね。

雑木と芝を組み合わせた庭の一角に、家庭菜園のスペースも用意されています。敷地の高低差を活かしながら大小さまざまな木が植えられ、家の平面が「くの字」になっていることもあって、庭の見え方も平面的ではなく奥行きが感じられました。

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家の中から見ると、これはもう絶景です。リビング、ダイニング、キッチン、和室、子供部屋、浴室のどこからでも景色を楽しめます。特に、ダイニングに座ってお茶やコーヒーを飲めば、カフェに行くよりも全然気持ち良く過ごせそうですし、ここで食べる食事も最高だと思います。

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奥様に話を聞くと、庭が出来るまでは道路からの視線をまともに受けるので、常にブラインドを下げて暮らしていたそうです。今でも、室内からは歩いている人の姿が目に入るのですが、昼間は外から室内はほとんど見えません。「これからはブラインドを上げても問題ないですよ」と言うと、奥様も外から家を見て確認していました(笑)

岸 未希亜

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2017年06月25日

大人の修学旅行2017前篇

昨年に続き、神奈川エコハウスと共に家づくりをしてくれている職人さんと小旅行をして来ました。昼は歴史的建造物を見て回り、夜は飲み会を行う大人の修学旅行です。
昨年は岐阜県と愛知県に遠征しましたが、今年は千葉県、茨城県という近場が選ばれました。私は藤沢に来る前、東京メトロ東西線沿線に住んでいたため、千葉県でも浦安、船橋といった辺りは馴染みがありますが、上総、下総の文化に触れた機会はほとんどありません。茨城県では古河市、つくば市に縁があった以外、サッカーの試合で水海道市、神栖市を訪れたぐらいで、同じ関東でありながら、両県について意外と知りません。

朝早く出発して、都内から東関東自動車道に入り、成田を通り過ぎて利根川のすぐ手前にある佐原香取ICで高速道路を下り、最初に訪れたのが古い町並みが残る「佐原(さわら)」です。

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佐原は今から21年前の1996年(平成8年)に、43番目の重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)に選定されました。重伝建地区は毎年その数を増やし、2017年6月現在、全国に114地区もあるのですが、関東には6つしかなく、佐原はその中で最古参の町並みです。

佐原は利根川河口に面した河港問屋町として発展しました。太平洋沿岸を北からやって来る船は、房総半島の南側を大回りするよりも、銚子港を経て佐原に入り、ここで川船に荷を積み替えて、利根川から江戸川を経て江戸に物資を運びました。そのため、利根川に注ぐ小野川に沿って問屋の家や蔵が並び、護岸の一部がところどころ切り取られて、「だし」と呼ばれる荷の積み出し場があります。
大きくうねる運河のような小野川と「だし」のある景観が「佐原」の特徴で、現在、テレビで流れている大同生命のCM(女優の波瑠が出演)は佐原で撮影されています。

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香取神宮の門前に至る香取街道の両側にも古い家が残っていますが、車の往来が激しいため、ここはゆっくり撮影することができません。

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香取街道と小野川が交差する所に「伊能忠敬」にちなんだ「忠敬橋」が架かっています。江戸時代に全国の海岸線を測量し、わが国初の実測日本地図をつくった伊能忠敬は、佐原の伊能家の婿養子になって家業を再興した後に隠居し、50歳を過ぎてから測量の道へ進んだそうです。そんな訳で、町の中にある伊能忠敬旧宅や伊能忠敬記念館も見どころです。
その旧宅の前に、橋の下から水が流れ落ちる「樋橋」がありました。江戸時代から300年近く農業用水を送り続けた大樋の名残で、その音を再現するために30分間隔で水が流れ落ちるのですが、非常に面白い光景でした。

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テレビCMに使われるような町並みが今日まで残っているのも、江戸時代から明治にかけての繁栄が大きなものだったことを物語ります。それにしても観光客が想像以上に多くて驚きました。

次に「東国三社」と呼ばれる、香取神宮、息栖(いきす)神社、鹿島神宮を回りました。
香取神宮、鹿島神宮の創建は非常に古く、神武天皇年代(紀元前7世紀)と伝えられ、平安時代に「神宮」の称号で呼ばれていたのは、伊勢神宮、鹿島神宮、香取神宮の三社だけだそうです。息栖神社は古くから「東国三社」と称されましたが、地理的な関係から鹿島神宮の摂社(本社に付属し、その祭神と縁の深い神を祭った社)とみなされていたそうです。

katorij1.jpg 香取神宮
katorij2.jpg 香取神宮拝殿
ikisuj1.jpg 息栖神社
ikisuj2.jpg 息栖神社拝殿

江戸時代には、関東以北の人々がお伊勢参りの後に東国三社を巡る「下三宮参り」を行う慣習があり、昔から篤い信仰を集めていました。三社の位置を結ぶと直角二等辺三角形になるとか、富士山を意識して建てられているとか、様々な説が語られているようで、「東国三社参り」のバスツアーがあるなど、現在も人気の観光コースみたいです。

kasimaj1.jpg 鹿島神宮

最後に鹿島神宮を訪れたのですが、臨時駐車場も含めてどこも満車でした。駐車場を探して神宮の周りを走るとおびただしい数の路上駐車があり、私たちも仕方なくそこに車を停めて神宮へ向かいました。香取神社と比べると異常とも言える人の多さに「何故?」という疑問が沸きましたが、鳥居を潜り、楼門の前まで来たところで理由が判明しました。

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茨城県牛久市出身の横綱「稀勢の里」がお目見えするとあって、地元のファンが鹿島神宮に押し寄せたのでした。鹿島神宮と香取神宮は、武神を祀る神社として武家から信仰され、現代でも武術方面からの信仰が強いのだそうです。この日に当たったのは運が良いのか悪いのか、15分ほど喧騒の中に身を投じて、奉納土俵入りの雰囲気を味わいました。ほとんど稀勢の里は見えませんでしたが(笑)

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しかし土俵入りは僅か1~2分のことなので、数分後には蜘蛛の子を散らすように人がいなくなり、神社本来の静けさも味わうことができました。(つづく)

岸 未希亜

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2017年06月18日

やってることは他の会社と同じに見えるけど、なにが違うの?

大盛況でした!"かながわ家づくりフェア"!

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こんにちは!神奈川エコハウス 住宅事業部の東駿貴です!

以前お伝えいたしました、横浜そごうにて開催予定の"かながわ家づくりフェア"

たくさんのお客様にお会いでき、とてもお話が弾む瞬間など慌ただしいこともございましたが、すっごーく充実した一日でした!

私は正午からの対応で入らせていただきましたが、すでに会場は来客で大賑わいです!

"どんなことしたの?"

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知って納得の「家づくりセミナー」というコンセプトのもと、家づくりのプロたち、また家づくりに関わる仕事のプロ達から家づくりの極意やコツなどを聞くことができる、体験も交えたイベントです!

当社の場合は、会社の仕様を説明したプレゼンボードや模型の展示を中心としたブースで、簡単にご説明のできる環境で出店しました!


"目の前を通る人をくぎ付けにしたもの!"

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アンケートを書いていただいた方に、コースターまたは、当社が掲載されている書籍をプレゼント!という企画でスタートしましたが、アンケート用紙が足りず、コピーしに行くというくらいの大盛況!

こちらは会社のロゴで切り抜いたコースター

上2列がヒノキ,下2列がスギ です!ヒノキがかなりの人気!

"ほかの会社となにが違うの?"

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訪れる方々のなかには、こういったご質問が多数ございました

◇やってることや見た目は他の会社と同じに見えるけど、なにが違うの??

お答えします!

◆「神奈川の木」を県内で一番使用、無垢材や自然素材を積極的に活用
◆設計力、木の見せ方へのこだわり
◆設計と施工の一貫性、大工を始め職人の丁寧な仕事

ざっくりですが、ここが重点です!

一番分かりやすくお伝えできる事例が、当社の隣にあります、コンセプトハウスを実際に見ていただく、実際の建物でのんびりと体感していただくのが一番良いと思います♪

そのほか、本社を会場として行う住宅に関わるセミナー、住まいの教室✎

当社の設計士が講師となって講演します!

実際、わたくし新入社員 東も就職活動真っ只中のとき参加をしましたが、わかりやすく丁寧に解説してくれました!

意外と知っておくといいかも!というのが初めての印象でした!

※住まいの教室は予約制です。


"当社のブースまで足を運んでいただき、本当にありがとうございました♪"

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気軽に話しかけてくださった方や、真剣にご相談してくださった方、いろんな方々と繋がるきっかけを今回のイベントでつくることができ、私自身も会社としても有意義な賜物でございました。

当社は独自に、定期的に見学会,イベント等を開催しております!こちらも随時、お知らせいたします。

今回の家づくりフェアへお越しになられた方、そうでない方も、少しでも神奈川エコハウスの家づくりにご興味がありましたら...なくても、ぜひ!ぜひ!お気軽に参加してみてください!!!

◆神奈川エコハウスの企画型住宅!湘南LO-CO
こちらも一度、見てみてくださいね♪

◆当サイトへのお問合せは次の住所/電話/メールアドレスから直接ご連絡いただいても結構です!
また、資料請求もこちらから行えます♪

神奈川エコハウス株式会社
〒231-0044神奈川県藤沢市辻堂太平台2-11-5

TEL : 0120-28-0054(フリーダイヤル)
FAX : 0466-33-5729
E-mail:info@k-ecohouse.co.jp

〈お問い合わせフォーム〉
https://www.k-ecohouse.co.jp/contact/

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2017年06月15日

大きな庫裡の上棟式

以前にブログで紹介したエアサイクル規格住宅「木-Lism」と、フォトコンテストで最優秀賞を受賞した「ペニンシュラリビングの家(多治見市)」。どちらも神奈川エコハウスの関連法人であるアースデザインオフィスで設計した住宅です。今回は久しぶりに、アースデザインオフィスの活動について報告します。

昨年は神奈川エコハウスの仕事と並行して、2タイプあるエアサイクル規格住宅「木-Lism」の実施設計と、曹洞宗寺院の庫裡(くり:住職家族の住まい兼、檀家の集会所)の実施設計という大きな仕事がありました。他にも、早川工務店の住宅2棟の設計(うち1棟の実施設計は今年)をさせていただき、忙しくも充実した日々を過ごしました。
その中でも庫裡は、2015年3月に打合せを始め、実施設計が完了したのが2016年7月。設計期間はのべ1年4ヶ月です。お寺の行事を避け、敷地を含めた申請等の手続きを経て、今年3月に旧建物を解体。先日、新しい庫裡の上棟式が行われたので、長野へ行って来ました。

新しい庫裡は、約125坪(1階が約92.5坪、2階が約32.5坪)の巨大な建物です。棟上げには大工や他の職人さん等15人が参加し、丸2日かけて行いました。私が訪れたのは式典を行う3日目だったので、すでに建物は建ち上がり、細かい作業や上棟式の準備が行われていました。

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今回は一般住宅ではなく仏教寺院の建物なので、仏式で上棟式を行います。しかも住職だけではなく、近郊のお寺から9人もお坊さんが応援に来て、大掛かりな式典を行うとのこと。大工さんも普段は一般的な住宅を手掛けることが多く、このような大規模な上棟式を行うのは稀だそうで、準備と並行して簡単なリハーサルや台詞の練習もしていました。

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夕方になると檀家さんや近所の方が集まり、工事関係者も列席して上棟式が始まりました。大勢のお坊さんが般若心経を唱える荘厳な雰囲気の中、列席者が焼香する際には、箱に入った幾つもの経典(恐らく「正法眼蔵:しょうほうげんぞう」)をパタパタめくりながら経を唱える様子が壮観でした。

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仏式の式典が終わると、外に出て上棟式特有の儀礼を行いました。初めに行われた「曳綱の儀(ひきつなのぎ)」は、2本の曳き綱で棟木を棟まで上げる儀式です。前述の参列者に加え、関係福祉施設の職員や子供たちも加わり、全員が左右に分かれて綱を持ち、棟梁の掛け声で綱を引きました。

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続いて行われた「槌打の儀(つちうちのぎ)」は、大工が棟木を棟に打ちはめる儀式です。棟梁の下からの合図で、屋根の上に登った大工が木槌を振り下ろしました。

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最後に行われた散餅散銭の儀(さんべいさんせんのぎ)は、いわゆる「餅まき」で、住宅の上棟式でも時々見かけます。足場に設けられたステージから、住職ご夫婦、檀家の役員、棟梁らがお菓子を撒き、参列者が群がる光景はお馴染みです。縁起ものなので、私も一つ拾いました。

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儀礼が終わると、本堂に場所を移して直会(なおらい)が行われ、住職、檀家さん、工事関係者が一緒になってお酒を飲んだり食事をして、改めて上棟のお祝いです。直会を終えて外に出ると、雨がポツポツ降っていました。上棟前日も雨だったそうなので、上棟の期間だけ雨が避けてくれたことになります。これも仏様のご加護ということでしょう。

その後はいつもの流れで、大工さん、職人さんと二次会、三次会へと繰り出しました。今回は、かつて何度も一緒に仕事をしたことのある大工さんと、7年ぶりに会って話ができたのも嬉しい出来事でした。

岸 未希亜

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2017年05月31日

雑誌掲載のお知らせ

来週、発売される「Home & Decor(ホーム&デコール)Vol.4」の特集は「読者が選ぶ、住みたい家のグランプリ」です。そこに、当社で建築した住宅も掲載されました。
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掲載されたのは、今年の2月に完成見学会を行った住宅です。当時のブログでも「見どころ」を紹介しましたが、特筆する点を改めて紹介します。

一つ目は、建て主が注いだエネルギーと観察眼です。建て主は数多くの工務店に足を運び、実際に話を聞いたり見学会に参加した中で、各社の長所と短所を見極め、夫婦で話し合って当社を選んでくださいました。その的確な会社批評がたいへん面白く、とても勉強になりました。

二つ目は、要望書が凄かったこと。A4用紙7枚にびっしり書かれた要望は、その文量も凄かったのですが、大切なポイントは5つに絞ってあり、その他の要望も写真付きで分かりやすくまとめられ、読みながら感心してしまう要望書でした。ほとんどの要望を叶えながら、芯のあるデザインになっています。

三つ目は、実家の敷地を分けての計画です。かつて祖父母が暮らしていた平屋を解体し、親世帯の横に家を建てるため、制約の大きい敷地条件でした。限られた面積や日当りを踏まえて計画するとともに、親世帯から敷地内の古桜が眺められるように配慮しています。

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敷地の制約から総2階の家になりましたが、水回りを2階に上げることで1階に余裕が生まれ、広々としたリビング・ダイニングを実現。間取りと架構が合致しているので、柱や梁の見え方も綺麗ですし、杉板を張った床や天井と漆喰壁のコントラストも綺麗です。建て主達ての希望で、当社で床に使うのは珍しい、節のある杉の厚板を張りましたが、思ったより節も気にならず、「杉づくし」の統一感がとても良い感じになりました。

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「住みたい家のグランプリ」のノミネート作品は、今号と次号の2回にわたって掲載されます。そして読者が同誌のホームページからエントリーナンバーで投票する仕組みだそうです。投票期間は7月15日~10月31日ですので、神奈川エコハウスを応援してくださる方は、よろしくお願いします(笑)

この住宅は、<親世帯と共存する杉の家>として、近日中にホームページの「事例紹介」に加わります。お楽しみに。

岸 未希亜

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2017年05月10日

住まいの教室 「敷地」

「住まいの教室」は、2014年の4月から月1回のペースで開催している連続セミナーで、2017年4月からシーズン7が始まりました。毎回テーマを変えて授業をしており、第1回の基本セミナーは「家にまつわるお金の話&家づくりの進め方」で、正に家づくりの第一歩という内容でした。実例セミナーは「木を見せる住まい、木を見せない住まい」と題して、見た目の違いだけではなく、真壁造りと大壁造りの本質的な違いを比較して解説しました。

今週末に開催される第2回は、基本セミナーも実例セミナーも「土地・敷地」をテーマにしています。「敷地」は、家の設計や工事費に大きく影響する大切な要素ですので、2時間かけてじっくり説明します。
第一部は「失敗しない土地探し&設計者から見た土地選び」と題して、土地を探す時に気を付けること、不動産売買の仕組み、販売価格以外にかかる隠れた土地の費用、設計者の目線で見た避けたい土地など、不動産屋から得られる情報だけでは分からないポイントを解説します。

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新たに土地を購入する方にとっては、まさに必修科目です。また、すでに土地を持っていたり、現在の家を建て替える方にとっても、計画の参考にできる内容が多く含まれているので、聴いておいて損はないと思います。

第二部は「敷地の状況から生み出される住まい」と題して、敷地の大きさ、形、周囲の環境等によって家の形が決まることについて解説します。
郊外の広い敷地であれば、敷地の影響は小さく、要望に沿って素直に設計することができますが、住宅が密集する狭い敷地では、要望以上に敷地条件の方が大きな影響力を持ちます。そんな条件の悪い敷地では、「日照・採光を確保すること」が優先されるので、LDKを2階にした逆転プランの事例や、中庭を囲んだ町家型プランの事例を紹介します。

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その次に「窓から何が見える?何を見る」という切り口で、その敷地の長所を活かした事例を紹介します。山や海が眺められる、絵に描いたような好条件こそ滅多にありませんが、隣地が公園や畑だったり、隣の庭や街路樹が見えたりする「ちょっと恵まれた敷地」はあるものです。室内から景色を楽しめるように、その敷地に合った窓を設けることが、居心地の良さに結びつきます。

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土地を探している人も、土地を持っている人も、敷地と住まいの関係を学ぶ絶好の機会です。この授業を受ける前と受けた後では、家づくりが変わるかもしれません。ぜひ、ご参加ください。

岸 未希亜

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2017年04月27日

フォトコンテスト

全国で約300社が加盟しているフクビエアサイクルチェーンでは、毎年「エアサイクルの家・デザインフォトコンテスト」が実施されています。建築家・中西ヒロツグ氏を中心に審査が行われ、総合部門、外観部門、内観部門の各賞が発表されます。その中で金賞に相当するのは、総合部門の最優秀賞です。

古い話で恐縮ですが、2009年度は当社コンセプトハウスが最優秀賞を受賞。ちなみに当時は完成したばかりだったので、プロの写真ではなく、私が撮影した拙い写真で応募しました。

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翌2010年度は、神奈川エコハウス設計施工の「3つのスタディをもつ家(鎌倉市)」が最優秀賞。

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2011年度は、アースデザインオフィス設計・サン住宅施工の「太陽と風と共に暮らす家(浜松市)」が最優秀賞でした。

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応募者は別なのですが、設計としては実質3年連続の受賞となったため、以降は当社に対する審査基準が厳しくなったとか(笑)。それだけが理由ではないでしょうが、ここ4年間は出品した住宅が最優秀賞に届かなかったので、特にブログで紹介することもありませんでした。

そして迎えた今年(2016年度)の結果発表。最優秀賞は早川工務店施工の「ペニンシュラリビングの家(多治見市)」が受賞しました。設計はアースデザインオフィス(神奈川エコハウス)です。

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この住宅については、昨秋のブログで紹介していますので、詳しくはそちらをご覧ください。また、エアサイクルニュースという広報誌の裏面に、次のような中西ヒロツグ氏の講評が載っていたので、転載します。

「建物はシンプルな切妻屋根を組み合わせた、端正な佇まいの住まいです。写真を見た瞬間、神奈川エコハウス様のコンセプトハウスを連想させたので、もしやと思ったらやはり岸さんの設計でしたね(笑)。ただ岸さんのデザインに比べて良い意味で「ゆるく」感じるのは、早川工務店様の個性が入っているようで、その点に好感を持ちました。
プランは周囲からのプライバシーを確保するため、南側の庭を囲むように下屋を組み合わせ、屋根が取り付く部分を吹抜けとすることで、自然光が奥まで届く仕掛けとなっています。単純に考えるとL型プランになりそうなところを、ペニンシュラ(T型)プランにすることで、キッチンとのつながりが豊かになり、LDやスタディコーナーの開放感を生み出しています。
外部に使われている檜材は木目も美しく、塗り壁と羽目板との切り替えや、下端を水切り無しで納めているところにもデザインへのこだわりが感じられたため、最優秀賞に推薦しました。」

早川工務店(多治見市)とのコラボで建てた住宅は、これまでに6棟ありますが、こうして評価していただけると素直に嬉しいですし、早川工務店やお施主様にも喜んでいただけて良かったと思います。
一方で、神奈川エコハウスの応募作品2点も入選しました。「とっておきのキッチンを見せない家(藤沢市)」が総合部門・優秀賞、「総2階スタンダードモデルの家(平塚市)」が内観部門・優秀賞です。

phocon166.jpg とっておきのキッチンを見せない家
phocon167.jpg 総2階スタンダードモデルの家

来年も2~3点を応募予定ですが、ブログで紹介しなかった時は・・・暗黙の了解ということで(笑)

岸 未希亜

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2017年03月28日

エアサイクルの家 木-Lism

新シリーズ「木-Lism」については、DMで紹介した程度で、まだまだ告知が足りていませんので、この場を借りて少し解説します。耳慣れない響きなので、「木-Lismって何だ?」と思われた方も多いと思いますが、先月のブログ「エアサイクル視察研修」で紹介した通り、フクビ化学工業が企画し、アースデザインオフィスで設計したレディ・メイド住宅です。
エアサイクルのHPに掲載するため、先日ちょうど取材を受けたところです。

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フクビエアサイクルチェーンに加盟している工務店は、全国に約300社あります。新築住宅を受注するのが難しい時代になっているので、工務店にとっては、今まで以上に設計力が求められる場面が増えていますし、エアサイクル住宅の施工棟数も延び悩んでいるのが現状です。また、一棟一棟違った注文住宅ではエアサイクルの効果を数値化しにくい、という意見もありました。そうした各社の想いを形にしたものが、この「木-Lism」です。

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住まいを考えるにあたっての理想的な姿は、その土地、そこに住む人に合わせたオーダーメイドだと思います。ところがオーダーメイドに加えて、素材や造りにしっかり手をかけると、どうしても低価格で提供することは難しくなります。洋服や靴、食品などを思い浮かべれば分かりやすいですが、私たちの日常生活は、安いモノと良いけれど高いモノとの狭間で揺れ動くことが多いのではないでしょうか。

「衣・食・住」の中で住宅は、「衣・食」に比べて断然金額が大きくなるため、理想を追求するのが容易ではありません。しかし、簡単に買い替えることができないからこそ、良いモノを選びたいものです。

そこで「木-Lism」をお勧めします。この家は設計が完了した「既製品」のため、間取りや形は自由になりませんが、構造や基本性能は確かですし、注文住宅と同じように、地域の職人が地域の材料に手をかけて造ります。また、エアサイクル工法によって暖冷房の負担が軽減され、快適性も向上し、木材が乾燥して長持ちします。その上で、仕上げを選んだり、食器棚・テレビ台・本棚・洗面台等の造り付け家具を加えることで、自分たちの好みにカスタマイズできる住宅です。

kiLism3.jpg 撮影:山田新治郎
kiLism4.jpg 撮影:山田新治郎

上は「木-Lism 第一号」の写真です。これは群馬県の会社が建てた住宅のため、当社が造る場合と仕上げ等が少し違いますが、間取りや空間は正にこのままです。
万能な間取りというのは無いので、もし間取りが気に入らなければ、「ごめんなさい」と言うしかありませんが、多様な地域、多くの工務店、多くの建て主に「選んでもらえる」ことを目指しています。そのためには対象をある程度絞る必要があるので、「子育てのある家」という括りで考えました。

子供のいないご夫婦、子供が巣立ったご夫婦、社会人になった「大人」と暮らすご夫婦など、「子育てのない家」には様々なケースがあり、暮らし方も十人十色と言えます。それと比べれば、「子育てのある家」は比較的似たようなライフスタイルと捉えることが可能で、最大公約数的な間取りも十分に成り立ちます。子育て家族にとって大切な、親子のコミュニケーションが図りやすい、そんな間取りを形にしました。

kiLism5.jpg 撮影:山田新治郎

間取りは大別すると2種類で、和室のある31.75坪の住宅と、和室のない31.0坪の住宅です。バルコニーの有無や、玄関が北西、南西、北東、南東の4パターンある等、合計40プランのバリエーションに展開するので、自分の敷地に合ったお気に入りのプランが見つかるかもしれません。

実例写真の住宅は、残念ながら簡単に見に行くことはできません。そこで、最初に建てていただく方には、期間限定モデルハウスとして1ヶ月間お貸しいただく他、3棟目、4棟目が完成するまでは、入居後にも時々見せていただく予定です。
そのお礼として、先着2組限定ですが、キャンペーン特別価格で提供することにしました。この面積、この仕様では破格のお値段となっていますので、興味のある方は詳細をお問い合わせください。

岸 未希亜

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2017年03月07日

お住まい拝見

今週末に開催される「住まいの教室 第6回」は、実際に生活している住まいを拝見する「オーナー住居訪問ツアー」です。完成見学会とは異なり、「暮らし」を覗くことができると同時に、建て主の話を聞くことができるのも醍醐味です。

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当社で家を建てるお客様の多くは、コンセプトハウスを気に入ってくださり、柱や梁を現わした真壁造りの家に共感を持ってくださいますが、今回お伺いする2軒のオーナーはちょっと違っていました。どちらも建物のイメージがしっかり出来上がっていて、イメージ写真をコラージュした要望書を作成されていたのです。

最初に見学する「鶴見区・D邸」は、間もなく築6年になります。竣工は2011年ですが、当社に初めてお越しいただいたのは2007年で、住宅展示場に構えていた初代のモデルハウスに来ていただいたそうです。私はまだ入社していませんでした。そして、本社の隣に現在のコンセプトハウスを建設中の2009年に再訪され、入社間もなかった私が担当になって計画が始まりました。
私がこれまで担当させていただいたお施主様の中では、最も古くからのお付き合いになります(建物が竣工したのは9番目)。その時にD様が用意していた要望ファイルがこれです。

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要望は僅かに5項目で、イメージの伝え方も上手。設計事務所から移って来たばかりの私は、まだ工務店に来るお客様の傾向も分かっていませんでしたが、この要望ファイルを見た時、「設計事務所に設計を依頼するようなお客様がいる」ことに驚きを覚えました。7年以上前のことですが、昨日のことのように思い出されます。

間取りの要望は、同居する高齢のお父様の部屋、息子が結婚しても一緒に生活できる部屋、陶芸のためのアトリエ、そして将来、自宅をカフェにできるような空間でした。道路から一層分も高い敷地を生かして地下を造る案も考えましたが、最終的にLDKをカフェに転用できる2階建て案に落ち着きました。

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室内は、中心の丸柱を除いた全ての柱を隠し、床材にはアジアンウォールナットを使い、枠や木製建具を濃色に塗装して、「白い壁とアンティークブラウン」の家が出来上がりました。外観も和を感じさせないよう、方形屋根(正方形平面+寄棟)にしています。
初代のモデルハウスは、コンセプトハウス以上に和風の雰囲気が濃厚でしたが、D様が当社を選んで家を建てられた理由が気になりますね。ぜひ、ご自身で聞いてみてください。

次に見学する「緑区・O邸」は、今年の7月で築5年になります。入社から1年半以上が経過しており、私にとって節目となる20組目のお施主様でした。ちょうど前述のD邸が完成した頃に来ていただいたので、見学会にも参加されています。そのO様が用意していた要望書は、これまた秀逸でした。

それは、「付かず離れずの、ほどよい距離感をたもてる家」というテーマに沿ったストーリー、家族の暮らし方、要望が整理してまとめられ、イメージ写真がコラージュされている「おうち計画書」です。

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写真はどれもすっきりとした大壁の空間で、中には雑誌で見たことのある写真もあったので、その会社に頼むことも考えられたと思います。しかし、それを神奈川エコハウスに依頼してくださるということで、建築家魂を喚起された記憶が甦ります(笑)

間取りについては、工事費を抑えるために総2階に近い建物を想定しながら、テーマに則って、子育て家族にとって理想的な間取りを考えました。
住宅は2階よりも1階の面積が大きくなるのが自然なので、「総2階」の家は2階のスペースが余ります。そこで洗面室と浴室を2階に上げることで、上下階のバランスを取り、玄関と玄関収納部分を付け加えました。

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O邸は、先日発表した「木-Lism」の原型となった間取りでもあります。「木-Lism」は水回りが1階にある等、違う所もあるのですが、LDKのイメージや吹抜に面したスタディコーナーのイメージは、正にO邸から持って来たものです。建て主や敷地に合わせて一つ一つ考えることも大切なのですが、理想的な間取りというのは普遍性があり、繰り返しても色あせないものだと思います。
この家は「外周大壁」ということで、柱や梁も控えめに見せていますが、アクセントカラーに塗った壁があったり、北欧の家具や照明が映えるモダンな空間になっている点も見どころです。

モダンなデザインが好きな方、お施主様の話を聞いてみたい方、もちろん、それ以外の方の参加もお待ちしています。

岸 未希亜

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2017年02月22日

鎌倉K邸 完成見学会(後篇)

今週末に見学会を開催する「鎌倉市K邸」の見どころを紹介します。この住宅は今年の初めにも見学会を行っていますが、1月中旬に外構も完了し、晴れて2度目のお披露目となります。

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昨年末のブログで見どころをお伝えした通り、美術大学を卒業しているご主人のデザイン・色彩感覚と、建築家の中村好文さんの設計に好感を抱いていた奥様の想いを受けて生まれた住宅です。

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中村好文さんは「普通のいい家をつくる」と評されるような「建築家」らしくない建築家です。建築家住宅は、とかくデザインが主張し過ぎて嫌味になりがちなのですが、中村さんの設計する住宅は、絶妙なさじ加減で何気ないデザインに見える点が大きな魅力です。住まい手に「緊張」を強いることがない、優しいデザインの住宅だと思います。今回は中村さんの生み出す空間や、遊び心を意識しながら設計しました。

玄関の土間から続く玄関ポーチ、アプローチには大谷石を使いました。風化しやすい柔らかい石ですが、独特の風合いや温かみがあって、この家の雰囲気にぴったりです。

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また、前回は無かったダイニングのペンダント照明が下がっています。お勧めのインテリアショップで購入したシンプルなデザインの器具と、吹抜けに浮いている照明の吊り下げ方も見どころの一つです。
柱や梁を見せない代わりに、主要な天井に杉板を張っているため、床の桧フローリングと併せて木質感も十分に感じられますし、何と言っても無垢の木を使った床・天井と、白い壁のコントラストが美しいお住まいです。

岸 未希亜

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2017年02月16日

藤沢K邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「藤沢市K邸」の見どころを紹介します。今回は小田原の家と同様に、建て主の紹介だけでも伝えたいことが多いため、建物の解説はいつもより少なめです(笑)

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建て主のKさんが最初に資料請求をしてくださったのは、約2年前の2015年3月でした。直後の4月と6月に「住まいの教室」に参加され、徐々に完成見学会への参加も増えていきましたが、「3年以内に新築」ということで、当時は多くの建築会社を見て回っている時期だったようです。
そして、○○工務店や○○工房といった、いい木造住宅をつくる会社との熾烈な競争の末、最終的には当社が選ばれました。「熾烈な競争」というのは冗談ですが、あちらの良い所とこちらの良い所があり、比較をすればするほど、単純には決められないものだと思います。
Kさんの話によれば、製材所のツアーで丸太から家になるまでのプロセスが分かったり、構造見学会の時、現場を毎日ご覧になっていた建て主から、職人さんの丁寧な仕事ぶりを聞いたのも良かったようです。また「岸さんの家まで見学させて頂いたら、神奈川エコハウスにお願いするしかないですね」というのが本音だとしたら、してやったりですね(笑)

じっくりと比較検討をして建築会社を決められたKさんには、他社の良い所も教えていただいた上で、当社のセールスポイントを挙げていただき、そのお陰で「会社の強み」を社内で共有することができました。

また、Kさんが作成した「家づくりプロジェクト計画書」は、A4用紙7枚にまとめられた見事な要望書でした。要望の数は確かに多い(約80項目)のですが、優先事項が決まっていることや、写真でイメージが掴みやすくなっていて、読んでいて楽しくなる要望書です。最優先事項は、1.冬暖かく、夏涼しい家 2.注文住宅らしい遊び心のある家 3.フローリングは分厚い杉の無垢板 4.家事動線を最大に考慮した間取り 5.収納がたっぷりある家 の5点です。
何度もお会いして十分にコミュニケーションが図れていたこともあり、限られた空間の中にほとんど全ての要望を盛り込みながら、芯の通ったデザインになったと思います。

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敷地は、最寄り駅から徒歩圏という利便性の高い場所ですが、大通りから一つ中に入っているため、意外なほど静かな住宅地です。祖父母が住んでいたという平屋の家を壊し、ご両親が暮らす家の隣に子世帯単体の住まいを計画しました。

敷地が狭いので、必然的に建物は「総2階」になりました。1階にご主人の工作室をつくることになり、洗面室・浴室を2階に上げている点が特徴です。敷地の南側は、奥の敷地の旗竿部分があるので、建物から「隣地」まで6m弱は離れていますが、現在は空地である「隣地」に大きな建物が建つ可能性もあるので、小さいながらも南側中央に吹抜けを設け、日照・採光の確保を図りました。

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1階は玄関、トイレ・洗面、工作室の他に、玄関収納とパントリーを設けて十分な収納を確保。LDは建物の凹凸や丸柱によってほど良くエリアが分かれ、吹抜けによって立体的な広がりも感じられます。キッチンは対面式ではなく、LDとの一体感がありながら、独立性も感じられる絶妙な造りになっています。LDKに並ぶテレビ台、書斎コーナー、食器棚、洗面台等の造り付け家具も、細かな要望を反映した造りになっており、使い勝手とデザインを両立しました。

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「道路側にある桜の古木を残したい」というご両親の希望を受け、桜を除ける形で建物を計画。さらに外観デザインにも気を配りました。「バルコニーは家と一体になっているデザインに」という要望には、外壁を凹ませてバルコニーを屋根の下に収めました。準防火地域なので一部シャッターサッシを使うことになり、シャッターを隠す工夫を加え、道路面については、窓を中央に集めて竪格子で全体を覆っています。
室内では、ダイニングにlouis poulsenの照明「Toldbod」、リビングにはカンディハウスの3人掛けソファ「NISORU」と1人掛けチェア「KAMUY LUX」を入れているのも見どころです。

この家のタイトルを考えた時、幾つもの候補が浮かんだのですが、「こだわりぬいた総2階の家」がしっくり来ると思います。

岸 未希亜

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2017年02月02日

エアサイクル視察研修

先週1月26日に、北関東でエアサイクルグループの視察研修会があり、当社の井上君と一緒に参加しました。エアサイクルを搭載した注目の住宅を見学し、講演会・懇親会を通じて情報の共有と交流をはかる研修会です。

集合場所は熊谷駅(埼玉県熊谷市)だったので、東京から新幹線に乗るのが一般的ですが、朝の通勤ラッシュに重なるため、JR上野・東京ライン(東海道線・高崎線)のグリーン車で座って行くことにしました。しかし通勤時間帯はグリーン車も混んでおり、藤沢駅で座席が確保できた時はホッとしました。

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熊谷駅からは、貸し切りのバスに乗って埼玉県ときがわ町へ移動しました。初めに訪れたのは、建築家・中西ヒロツグ氏が設計し、地元の松本建設が施工した住宅です。ときがわ町は県の中西部に位置する人口1万1千人の田舎町ですが、松本建設はこの地を中心に施工実績を延ばし、グループでも注目の工務店です。中西さんは、全国大会での講演やデザイン塾での講師、フォトコンテストの審査員として、エアサイクル加盟工務店のために尽力してくださっている建築家で、昨年終了したテレビ番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」に何度も登場している「匠」です。

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4人家族が暮らす約35坪の住宅は、大きさをあまり感じさせない平屋の建物で、外壁は南北面が漆喰塗り、東西の妻面は焼杉板張りというシックな外観です。切妻屋根の中央を片流れ屋根にして、採光・通風のためのハイサイド窓を設けてあり、中央が暗くなるとともに、風通しが悪くなりがちな平屋の欠点を補っていました。リビング・ダイニングからロフトにかけての勾配天井が、リズミカルかつすっきり見えるのは登り梁構造のためです。それ自体は見慣れた形なのですが、登り梁を見せていない両サイドの小屋裏で換気していることを知り、感心しました。「登り梁ではエアサイクル工法の小屋裏換気ができない」と諦めていたので、これは大いに参考になりました。

次の目的地である群馬県前橋市へ移動する際、関越自動車道を北上する車窓から、煙を上げる真っ白な浅間山が見えました。軽井沢や長野へ行く時、自分で運転して何度も走っている高速道路ですが、浅間山を見た覚えがなかったので、とても新鮮な感じがしました。

そして次に訪れたのは、エアサイクルを搭載した規格住宅「木-Lism」の第一号で、地元の立見建設が期間限定モデルハウスとして建設したものです。この「木-Lism」については別の機会に詳しく紹介しますが、フクビから依頼を受けて、アースデザインオフィスで設計した規格住宅です。プランが異なる2つの家を計画し、設計図も2種類作成しました。今回見学したのは、1階が16.75坪、2階が15.75坪(小さな吹抜け含む)というtype157の住宅です。

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外観は神奈川エコハウスがつくる家とよく似ています。地域による気候の違いはありますが、全国的にも雨や雪が多く、夏の日差しを遮るためにも、勾配屋根と深い軒は必然性のある形です。そうした家は全国に多くあり、一見すると特色が無いように感じるかもしれませんが、それこそがわが国で永く培われてきた普遍性だと思います。
内部は外周部分の柱を隠した大壁にしました。当社のように真壁にすることで、他にはない特徴は出せると思いつつ、多くの工務店が活用するためには、大壁の方が良いだろうと考えてのことです。それでも、内部の柱や梁が見え、無垢のフローリングの温かみ等もあるので、「木の家」らしさは感じられます。

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また、エアサイクル独自のコラム基礎は床下空間の通気性が抜群に良く、「床下エアコン」と相性が良いということで、この規格住宅にも組み込みました。冬もエアコン一つで家の中が暖かくなれば経済的ですし、施工した立見建設にとっても、一番の目玉と考えている部分です。現在、温度や湿度を測定しているところなので、それらの結果も楽しみです。

その後は高崎市内のホテルへ移動し、講演会と懇親会がありました。講演会は、私と中西さんが各々の設計趣旨などを発表しましたが、メインイベントは懇親会に用意されていました。

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フクビ化学工業の八木社長からの差し入れということで、一度照明が落とされ、スポットライト浴びて「越前ガニ」が登場したのです。本社が福井県にある同社の粋な計らいでしたが、私が登壇した時とは大違いでした(笑)

岸 未希亜

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2017年01月18日

平塚D邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「平塚市D邸」の見どころを紹介します。

建物とは直接関係ありませんが、今回は建て主の移動距離が長かったことも特筆に値するので紹介します。
建て主が初めてコンセプトハウスに来場されたのは一昨年の秋です。その当時、建て主ご家族は埼玉県鴻巣市にお住まいでしたが、建設地が平塚市のため、週末に何度も神奈川県まで足を運び、工務店探しをされていたそうです。幾つもの会社を見た後で当社に来られたこともあり、コンセプトハウスをとても気に入ってくださり、構造見学会の参加や建築敷地の確認へとトントン拍子に進みました。

しかし年が明けるとご主人が名古屋に転勤になり、打合せの週末は名古屋から鴻巣に戻って、改めて家族と一緒に藤沢まで来るというハードスケジュールになりました。さらに、4月になるとご家族も名古屋へ引っ越され、引越し後の2回は私が名古屋へ伺いました。平塚に実家があるので、その後は1泊2日で打合せに来ていただきましたが、長距離の移動は大変だったと思います。

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敷地は典型的な旗竿敷地で、道路との接道が2mしかありません。2mずつの旗竿部分を隣家と共有する形にして、車を前後に置いている状況でした。一方で家が建っている部分は比較的広く、小さな池のある庭も残っていますが、周囲を家に囲まれているため、やや閉塞感のある印象を受けました。

今回の計画は、ご主人の実家で一人暮らしをされていたお父様が、建て主家族と一緒に暮らす住宅なので、最大の特徴は「三世代同居の住まい」ということです。
奥様と義理のお父様が気を遣い過ぎないように、初めは玄関を起点にエリアを左右に振り分ける提案をしました。しかし、玄関が中央に来ることで庭が分断される点、広いバルコニーを造ろうとすると、玄関の上に防水バルコニーを造るしかない点が懸念材料でした。
そこで、「お父様がリビングを通らずに玄関へ行く必要はない」という話を受け、玄関を建物の端(旗竿部分に最も近い位置)に寄せ、リビング・ダイニングの奥にお父様の部屋を配置した第2案をつくりました。それが現在のプランです。庭に面した大きな窓と吹抜けによって、全体が明るく開放感のある住まいになりました。

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三世代同居に加えて、ご主人のお姉様家族が来ることも多いので、リビング・ダイニングはもちろん、キッチンも少し余裕のある広さにしました。建具を引き込めばダイニングとの一体感があり、建具を閉めれば独立するキッチンで、洗面室への裏動線も機能的です。

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2階には、家事や読書などができる奥様用のフリースペースを設けました。吹抜けを介してリビングとの繋がりも感じられ、お父様と適度な距離感を保てます。お父様の部屋は、2階の声や足音が響かないように下屋部分に配しました。当然のことながらトイレはすぐ近くに設けてあり、生活は1階で完結します。

旗竿敷地だったため、工事をする上で庭の一部は撤去せざるを得ませんでしたが、可能な限り、庭の樹木や北側にある柿の木を残すようにしました。場所の記憶を引き継ぐことで、お父様にはもちろん、近所の方にとっても、新しい家が違和感を持たれないように心掛けたつもりです。

この家は、中央に吹抜けのあるオーソドックスな間取りで、だからこそ柱や梁の見え方も整然として綺麗です。三世代同居を検討中の方はもちろん、木組みの家をお考えの方にもお勧めの見学会です。

岸 未希亜

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2016年12月27日

鎌倉K邸 完成見学会の見どころ

年明けの1月8日に見学会を開催する「鎌倉市K邸」の見どころを紹介します。

建て主が初めて来場されたのは2013年の5月です。土地探しを始めたばかりで、まだ、どの地域に家を建てるか具体的でなかったこともあり、半年や1年空いた時期もありましたが、変わらず当社のことを気にかけてくださり、2015年の秋から計画がスタートしました。
美術大学を卒業しているご主人は、たいへん絵が上手で、普通の人とは建物を見る目も少し違いました。細部のさり気ない納まりとか、シークエンスデザイン(移動することで変化する景色)に気付き、感心されることが多かったと思います。奥様は、建築家の中村好文さんの設計に好感を抱いていて、氏が書いた『普段着の住宅術』という本を愛読されていました。

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敷地はマンションを壊した後の大きな開発分譲地です。分譲から1年以上経過していたので、既に生活が始まっているお宅もあれば、売れ残っている土地もあり、逆に好ましい感じがしました。鎌倉特有の谷戸(やと:尾根に挟まれて谷が深く入り込んだ部分)にあたる所で、全体になだらかな高低差があり、背後には山が迫っている自然豊かな環境です。風致地区の壁面後退制限もあって、一つ一つの区画にゆとりのある恵まれた住環境のため、道路側の開放感や、北側の眺望を活かす設計が求められました。

中村好文さんは「建築家」らしくない建築家で、「普通のいい家」をつくると評されたりします。生活のリアリティを押さえた何気ないデザインで、住む人にぴったり合った空間をつくるのが魅力です。その意味では私と似ている面も無いでは無いのですが(笑)、今回は中村さんの生み出す空間や、遊び心を意識しながら設計したので、いつもの家とは、ひと味違った住宅になりました。

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室内は柱を隠してすっきりとさせながら、床や天井には板張りを多用して、優しく温かみのある空間にしました。「白い壁と無垢板の床」は中村さんの代名詞でもあり、天井も白くする家が多いのですが、そこは建て主の希望と当社らしさを加味して板張りにし、デザイン的にもメリハリが生まれています。

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そして2階に小屋裏のようなスタディコーナーをつくり、その勾配天井が1階へと下りてくるダイニングの空間は、この家のハイライトです。初めにこのイメージを創ってから設計したため、標準的な2階建ての家とは違った外観になりました。
その点は建築家的な発想と言うべきかもしれませんが、ご主人や子供たちがスタディコーナーにいる時の、階下の家族との距離感や空気感が、中村さん風かな・・・と(笑) 少し奥まった場所にあるキッチンが対面キッチンでない点も、「緊張」のない緩い空気感を生んでいます。

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背後の山が目の前に迫っている2階北側は寝室です。隣家から覗かれる場所では無いので、大胆に窓を設けました。山を見ながら寝転がったり、読書をしたり、静かに過ごす居場所にもなります。

さて、今年もブログをご愛読いただき、ありがとうございました。来年も長文にお付き合いください(笑)
年末年始はスポーツイベントや旅行があるので、ブログのテーマに事欠きませんが、完成見学会も目白押しです。年明けは、皆様の予定もすぐに埋まってしまうと思い、休みに入る前に見学会のご案内をさせていただきました。
大壁のすっきりした家が好きな方はもちろん、当社のスタンダードな家が好きな方にも楽しんでいただける住宅です。ぜひ予定を空けておいてください。

岸 未希亜

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2016年12月21日

雑誌掲載のお知らせ2

現在、書店に並んでいる「Home & Decor Vol.2(ホームアンドデコール)」は「湘南の家」特集です。前号に続き、当社で建築した住宅が掲載されました。

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今年の7月に完成見学会を行った住宅なので、ブログでも「見どころ」を紹介しました。最大の特徴は平面が「くの字」になっていること、そして平屋であることです。また、当社では珍しい濃色の外壁と「寄棟屋根」になっている点は、外観上の大きな特徴です。寄棟は、小屋組みを室内に現わすことや、エアサイクル工法には不向きなため、普段はあまり採用しませんが、プロポーションの美しい平屋との相性は良く、軒が水平に回る姿には風格が感じられます。

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当初から建て主の希望は平屋で、他社で進めてきたプランも見せてもらいましたが、敷地に立ってみた時、方位や周囲の家との関係から、オーソドックスな長方形のプランがしっくり来ない感じがありました。
そこで平面を「くの字」に折った建物を提案した訳ですが、日当たりを良くしたり、隣家からの視線を逃がす目的以外にも、斜めに折れる空間の広がりと一体感には絶妙なものがあります。

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玄関からLDKに足を踏み入れると、奥行きと立体感のある空間に目が奪われますが、ステンレス製のアイランドキッチンも大きな存在感を放っています。これも建て主が初めから望んでいたもので、開放性の高いこの空間によく合っています。ダイニングテーブルは、樟(くす)の1枚板を使った逸品。家具屋さんが脚を造って丁寧に仕上げた、この世に一つしかないテーブルです。

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裸足での生活、床に座る生活を好まれる奥様の希望で、リビングには縁の無い目積畳を埋め込んでいます。隣には小上がりの和室があって、腰掛けるのにも便利な、ちょっと変わった「続き間」になりました。

「建物完成の打ち上げをしましょう」と建て主から言われていたのですが、なかなか予定を合わせることができず、先日ようやく実現しました。大工の千葉さん、庭師の藤木さん、現場監督の伊藤、そして設計の私と私の家族がお伺いして、大勢で食卓を囲みました。

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皿がいくらでも並ぶため、改めてテーブルが大きいことを実感します(笑) そして、来客が大勢いても全員収容できるので、畳のリビングはホームパーティーに打ってつけだと思いました(笑)

この住宅は、<敷地になじむ「くの字」の家>として、近日中にホームページの「事例紹介」に加わります。お楽しみに。

岸 未希亜

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2016年12月13日

雑誌掲載のお知らせ1

雑誌「和モダン」に、当社で建築した住宅が掲載されました。

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掲載されたのは、昨年の4月に完成見学会を行った平塚の住宅です。これまで「和風住宅」や「和モダン」で取材を受けた住宅は、当然のことながら、当社の施工事例の中でも「和」の要素が強い住宅ばかりです。しかし今回の事例は、「和」を基調にしながらも、シンプルさとモダンさを併せ持つ、当社の「スタンダード」と呼べる住宅です。

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スタンダードと呼ぶ理由の一つは、総2階建ての住宅である点です。矩形(長方形)の総2階建ては、小さい敷地にも対応できて、構造もシンプルで建築費も抑えやすく、木造住宅の基本形と言えます。私自身は、これまで「矩形の総2階」を設計する機会が少なかったので、「総2階のスタンダード」をつくるつもりでプランを考えました。
まだ子供のいない若いご夫婦が建て主ですが、近い将来に「子育て家族」になるという点でも、スタンダードな間取りになっています。1階は和室(予備室)を設けず、ゆったりとしたLDKと玄関、水回りで構成されています。2階はリビング・ダイニングの上に吹抜けをつくり、その横に本棚のあるライブラリーを設けて人が溜まれるようにしました。2階と1階に分かれていても気配が伝わり、ひとつ屋根の下で家族を身近に感じられる空間です。

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子供部屋を初めはワンルームにしておいて、将来分けられるようにするのは定番の形ですが、「収納と寝るための部屋」2室と、勉強スペースに3分割し、この勉強スペースをライブラリーと繋ぎました。将来にわたって家族間のコミュニケーションが図りやすい工夫です。

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そして外観デザインも、「準防火地域のスタンダード」を目指しました。アルミ系サッシの防火性能不足が問題になって以来、準防火地域における開口部の制約は酷いものです。網の入っていない透明ガラスを使うため、あるいは金額を安く抑えるためには、シャッターサッシを使わざるを得ません。私個人としては、内と外の境界である開口部を両断してしまうシャッターは、その無骨な姿も含めて住宅に馴染まないと思っています。そこで「無骨なシャッターをいかに隠すか」も重要なテーマでした。

この家は、エアサイクル工法と床暖房を採用していますが、「実際に暮らしてみて良かったこと、悪かったこと」を建て主からお聞きしたので、紹介します。

「本当にシンプルで木と漆喰の温もりが暖かく、癒されます」
「夏は涼しくカラッとしていて、ジメッとした感じが無いです。冬はあれ?今日は寒くないのかな?というくらい暖かいです」
「吹抜けが明るさと風を運んできてくれて、とても気持ちがいい安らぐ空間になります。そして夜や冬は暖かさを、夏は涼しさを一階と二階で共有できます。全体を把握できるので安心感が得られ、また「抜け感」があるので窮屈さがなく、非常に気持ちがいい空間です」

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「悪かったことは、家が本当に心地よくて、仕事が終わると早く帰りたくなってしまうことです。友だちとの付き合いが悪くなってしまったことですかね(笑)」

建て主の感想は文中にも反映されていて、「華美ではないけれど、工夫があって居心地がいい。時代を超えて慈しむことができる」とあります。
この住宅は「総2階スタンダードモデルの家」として、近日中にホームページの「事例紹介」に加わります。お楽しみに。

岸 未希亜

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2016年12月07日

大磯H邸 完成見学会の見どころ

今週末に見学会を開催する「大磯町H邸」の見どころを紹介します。

慎重に会社探しをされていた建て主からは、「住んでいるお宅を見たい」とのリクエストがあり、一つ二つと重ねているうちに、いつの間にか5軒のオーナー住居を見学されていました(笑)
その中には「住まいの教室」の「お住まい拝見」で訪れた2軒と、アースデザインオフィスで設計した岐阜県多治見市の住宅まで含まれているのですが、「居心地のよい家」を実感として理解できたそうです。また、オーナーの方々が当社の家づくりに満足していたことも、好印象だったようです。

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敷地は広い屋敷跡を開発した分譲地で、とても落ち着いた住環境です。北には小高い山があって木々が生い茂り、北隣りは広い庭をもつ別荘のため、北側の眺望に恵まれています。また、角地にあって非常に目立つ建物なので、家の中から見える景色だけでなく、道路から見られることも意識して計画しました。

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南北に細長い敷地のため、建物の東西幅は十分に取れませんが、LDKと和室がひと固まりになった間取りは、一体感と広がりが同居した心地よい空間です。小上がりの和室や階段下のスタディコーナーなど、変化に富んだ居場所が幾つもあるので、自然に家族がリビングの周りに集まるでしょう。そしてリビング全体が見える対面キッチンからは、階段と玄関も視界に入るので、家族の動きを見逃すことがありません(笑)

キッチンの背面には、勝手口のあるパントリー、洗面室・浴室・トイレの水回りをまとめました。2面道路のため、玄関と対角線にある勝手口も道路に近く、ゴミ出し動線としてベストな配置です。また北側斜線が厳しいため、水回りを北側の下屋にまとめることで、2階北面の屋根も軒をしっかり出すことができました。

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2階は日当りの良い南側に子供部屋を配置。初めは部屋どうしだけでなく、バルコニーへの通路まで一つの空間にして、1階リビングとの繋がりをもたせています。日当りを特に求めない主寝室と書斎は、強い光が射しこまず、かつ眺めの良い北側に配しました。自分だけの書斎は、お父さんには垂涎の空間です。
また、敷地の南側に十分なスペースが残るため、2台分のカーポート、アプローチ、広いデッキを造り、それらを樹木が包み込むような庭になっています。

私が担当して2016年に竣工した建物は10棟あります。山内龍雄芸術館に始まり、今回が9棟目の完成見学会(1棟は来年開催)になりますが、和風の住宅、平屋の住宅、小さな住宅など様々な家があり、各々に見どころや見せ場がありました。

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この大磯の住宅も、間取りや空間はもちろん、造り付けの食器棚、テレビ台、洗面台、間接照明、畳下の引出し式収納、ストリップ階段など、大工や家具造りの見せ場が多くあります。さらにダイニングの照明Aj Royal(louis poulsen)、ペレットストーブ、窓周りのブラインド類、そして家と一体の外構まで含めて見どころ満載の住宅です。2016年の集大成ともいえる大磯の家を、ぜひご覧ください。

岸 未希亜

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