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2014.08.19 / 建築と住まいの話

小田原S邸 完成見学会の見どころ

8月24日は「二宮町H邸」と「小田原市S邸」のダブル完成見学会を行います。

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「二宮町H邸」については先月ご紹介しましたが、あれからウッドデッキが完成し、より見応えのある状態になりました。

二宮H邸 完成見学会の見どころ

それでは「小田原市S邸」の見どころについて解説します。
ただ申し訳ないことに、現時点では室内の写真が間に合いませんでしたので、想像力を働かせて読んでみてください(笑)。写真は直前にアップします。

二宮の家に続き、この住宅も「平屋」のお住まいです。敷地面積300㎡以上、建蔽率30%、容積率50%という小田原市の練たん区域での計画ということもあり、建て主の希望は初めから「平屋建て」でした。
ご要望はそれだけに止まらず、「軒を出して高さは控えめに」や、「風通しがよくて陰影のある、日本家屋のよい所を生かした家」といった、私自身が嬉しくなってしまうような言葉が並びます。デザインイメージに関するヒアリングシートの質問で、「数寄屋建築のような本格的な和風住宅が好きである」に○をつけてくれた建て主も初めてでした。そんな訳でこの家のテーマは「昔からそこにある平屋の家」としました。

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この家の屋根は、当社でも最近は珍しくなった日本瓦葺きです。しかも、高級建築で用いられる一文字軒瓦を使用しているため、シャープで美しい軒先になっている点は注目です。吹付け外壁材も「和」を感じさせる特注色にしてあり、建て主が望んだ「蕎麦屋のような外観」になったのではないでしょうか(笑)

玄関を上がって右のガラス戸を引けば、広々としたリビングスペースに出ます。平屋は2階建ての2階と同じで、屋根下の空間を活かして木組み(小屋組み)もしっかり見せることができます。ここでは1間ピッチに3本の丸太梁を架け、架構の存在感を強調しました。
リビングは床座ということもあって、建て主は特大の「ギャッベ」を購入されました。ギャッベは遊牧民の女性が織り続けてきた伝統ある敷き物で、高価なペルシャ絨毯の原型とも言われていますので、見学の際はこちらもぜひお楽しみに。

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南面の開口部には、カーテンやブラインドではなく4本の障子が並んでいます。日中や夏の夜は網戸にして風を入れるので、障子は左右の戸袋に引き込まれます。そのため戸袋が障子1枚の大きさになるように、開口部:壁の割合を2:1にして、少し巾の広い障子をつくりました。また昨今では内法高さ(サッシや出入口の高さ)を2mにするのが一般的ですが、天井までの壁と開口部のバランスや、障子や襖のプロポーションの美しさを考えて、内法高さを1800にしているのも特長です。

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ダイニングは片側に造り付けのベンチソファを設け、もう一方のベンチとテーブルは手造りのオーダー家具です。家具職人が見つけて来た巾の広い栗の板2枚にスチールの脚を組み合わせた、この世に一つしかないダイニングテーブルで、週末の見学会に向けて、現在は工房で仕上げ工程の真っ最中です。

「起きている時の空間と寝る部屋があればよい」という奥様の考え方に基づき、この家に子供部屋はありません。リビングの一画を背の低い壁で囲ったスタディコーナーが勉強スペースになります。天井がつながっているので家族の気配を感じたり声も聞こえますが、椅子に座ればリビングからは見えないので、落ち着いて勉強をすることができそうです。

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寝室は畳の部屋が2つ。夫婦と子供に分かれるのではなく、夜勤があって時間のずれることが多いご主人が狭い部屋、母と娘が広い部屋に分かれます。しかし、ベッドを使う寝室と違って畳部屋は寝る人を選ばないので、より柔軟な使い方もできると思います。

<テーブルが入った室内写真を加えました>
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この家は、わが国で脈々と造られてきた日本家屋の伝統をベースに、暮らし方もシンプルに考えられた温故知新の住まいです。
「和」の家に興味のある方は、ぜひご覧ください。

岸 未希亜

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