ブログ

2017.03.07 / 建築と住まいの話

お住まい拝見

今週末に開催される「住まいの教室 第6回」は、実際に生活している住まいを拝見する「オーナー住居訪問ツアー」です。完成見学会とは異なり、「暮らし」を覗くことができると同時に、建て主の話を聞くことができるのも醍醐味です。

haiken171.jpg

当社で家を建てるお客様の多くは、コンセプトハウスを気に入ってくださり、柱や梁を現わした真壁造りの家に共感を持ってくださいますが、今回お伺いする2軒のオーナーはちょっと違っていました。どちらも建物のイメージがしっかり出来上がっていて、イメージ写真をコラージュした要望書を作成されていたのです。

最初に見学する「鶴見区・D邸」は、間もなく築6年になります。竣工は2011年ですが、当社に初めてお越しいただいたのは2007年で、住宅展示場に構えていた初代のモデルハウスに来ていただいたそうです。私はまだ入社していませんでした。そして、本社の隣に現在のコンセプトハウスを建設中の2009年に再訪され、入社間もなかった私が担当になって計画が始まりました。
私がこれまで担当させていただいたお施主様の中では、最も古くからのお付き合いになります(建物が竣工したのは9番目)。その時にD様が用意していた要望ファイルがこれです。

haiken172.jpg

要望は僅かに5項目で、イメージの伝え方も上手。設計事務所から移って来たばかりの私は、まだ工務店に来るお客様の傾向も分かっていませんでしたが、この要望ファイルを見た時、「設計事務所に設計を依頼するようなお客様がいる」ことに驚きを覚えました。7年以上前のことですが、昨日のことのように思い出されます。

間取りの要望は、同居する高齢のお父様の部屋、息子が結婚しても一緒に生活できる部屋、陶芸のためのアトリエ、そして将来、自宅をカフェにできるような空間でした。道路から一層分も高い敷地を生かして地下を造る案も考えましたが、最終的にLDKをカフェに転用できる2階建て案に落ち着きました。

haiken173.jpg

室内は、中心の丸柱を除いた全ての柱を隠し、床材にはアジアンウォールナットを使い、枠や木製建具を濃色に塗装して、「白い壁とアンティークブラウン」の家が出来上がりました。外観も和を感じさせないよう、方形屋根(正方形平面+寄棟)にしています。
初代のモデルハウスは、コンセプトハウス以上に和風の雰囲気が濃厚でしたが、D様が当社を選んで家を建てられた理由が気になりますね。ぜひ、ご自身で聞いてみてください。

次に見学する「緑区・O邸」は、今年の7月で築5年になります。入社から1年半以上が経過しており、私にとって節目となる20組目のお施主様でした。ちょうど前述のD邸が完成した頃に来ていただいたので、見学会にも参加されています。そのO様が用意していた要望書は、これまた秀逸でした。

それは、「付かず離れずの、ほどよい距離感をたもてる家」というテーマに沿ったストーリー、家族の暮らし方、要望が整理してまとめられ、イメージ写真がコラージュされている「おうち計画書」です。

haiken174.jpg

写真はどれもすっきりとした大壁の空間で、中には雑誌で見たことのある写真もあったので、その会社に頼むことも考えられたと思います。しかし、それを神奈川エコハウスに依頼してくださるということで、建築家魂を喚起された記憶が甦ります(笑)

間取りについては、工事費を抑えるために総2階に近い建物を想定しながら、テーマに則って、子育て家族にとって理想的な間取りを考えました。
住宅は2階よりも1階の面積が大きくなるのが自然なので、「総2階」の家は2階のスペースが余ります。そこで洗面室と浴室を2階に上げることで、上下階のバランスを取り、玄関と玄関収納部分を付け加えました。

haiken175.jpg

O邸は、先日発表した「木-Lism」の原型となった間取りでもあります。「木-Lism」は水回りが1階にある等、違う所もあるのですが、LDKのイメージや吹抜に面したスタディコーナーのイメージは、正にO邸から持って来たものです。建て主や敷地に合わせて一つ一つ考えることも大切なのですが、理想的な間取りというのは普遍性があり、繰り返しても色あせないものだと思います。
この家は「外周大壁」ということで、柱や梁も控えめに見せていますが、アクセントカラーに塗った壁があったり、北欧の家具や照明が映えるモダンな空間になっている点も見どころです。

モダンなデザインが好きな方、お施主様の話を聞いてみたい方、もちろん、それ以外の方の参加もお待ちしています。

岸 未希亜

Category
お知らせ
建築と住まいの話
よもやま話
ロコハウス
書籍・メディア掲載
Archeives