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2014.09.09 / 建築と住まいの話

住まいの教室 野外編(御殿場)

今週末に開催される 第6回「住まいの教室」の野外教室で訪れる「御殿場の家」について紹介します。

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初めに、なぜ御殿場で当社が家を建てることになったのか、そのお話から・・・
ともに岩手県ご出身の建て主ご夫妻には、エアサイクルグループの加盟工務店にお勤めのお兄様が故郷におられ、当初はそのお兄様に設計してもらうつもりで相談をしていたそうです。
一方、静岡県内の住宅会社や工務店を幾つか見て回っても、なかなかこれという会社が見つからずに困っていたところ、エアサイクルの豊富な実績を有する当社が候補に浮上し、当社のコンセプトハウスや完成見学会を見るために、御殿場から湘南へ何度も足を運ばれました。
そして前述のお兄様が、かつて建築雑誌に連載を持っていた私の名前を覚えていたことから、建て主ご夫妻に「岸さんに頼めば大丈夫」と推薦してくださり、設計から全てを任せていただくことになりました。

こうして誕生した「御殿場の家」は、この「住まいの教室」をはじめ、過去のセミナーにおいて何度も事例として取り上げるほど、あらゆる意味で理想的な設計がされています。

一つ目は、敷地環境に合わせて景色を取り込む設計です。

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敷地は60坪の宅地と隣り合う130坪の雑種地からなり、東と北には森が広がっています。宅地東側の雑種地は樹木も伐採済みでプライベートコートになっており、その背後に森が迫っている魅力的な立地でした。
そこで大きな窓から庭と森を眺められるように、リビングとダイニングを東向きに南北に並べました。LDの南に取り付く和室も東面にハキダシ窓があり、同じように森の木々を望みます。

また夫婦の寝室を畳敷きにしたいということもあり、2階では日当たりと眺望に恵まれた南東角に和室を設けました。ベッドルームと違って畳敷きは、日中の居場所としてゴロゴロするのにも適しています。

二つ目は、暮らしを形にした住み心地のよい間取りです。

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ここで暮らすのは、ご夫婦と未就園児の男の子という3人家族。1階は、リビング、ダイニング、和室がキッチンを取り囲む形になっていて、キッチンに立てば子供がどこにいても様子が分かるので安心です。そして大きな窓から緑を眺められるリビング・ダイニングはたいへん居心地のよい空間になりました。

またキッチンの西側に水回りをまとめたので、LDから距離を置き、かつキッチンからの動線が短い点はたいへん便利です。御殿場は湿度が高いため、洗面所の隣にサンルーム(室内物干場)を設けたのも特徴です。

三つ目は、御殿場の気候風土に対応した家づくりです。

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御殿場は雨や霧の発生が多く、梅雨時は特に湿度が高くなります。降雨量の多い日本の家の知恵として屋根の軒は深くしていますが、多湿に対してはエアサイクル工法が効果的です。室内の見える所は対応の仕方もありますが、躯体内部に湿気がたまると内部結露を生じてしまいますので、床、壁、天井を空気が流れるエアサイクル工法の効果が存分に発揮されるものと思います。

またこの地は「夏が涼しく冬は寒い」という高原の気候特性があり、冬の暖房が重要でした。環境指向の強い建て主のこだわりで、北国の建物でよく見られるパネルヒーター(放射暖房システム)を各室に設置しています。今回の訪問では体験できませんが、輻射熱による全館暖房によって、冬でも裸足で過ごせるような心地よい暖かさを実現しています。

建て主は若いご夫婦ですが、若さに似合わぬ芯の強さとしっかりした考えをお持ちです。それでいてユーモアもあって話しやすい人柄ですので、参加される方は、気兼ねなく住み心地などを聞いていただければと思います。

岸 未希亜

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