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2014.09.15 / 建築と住まいの話

平塚H&K邸 ダブル見学会の見どころ

9月21日は平塚で、完成したばかりのH邸と築4年のK邸が見られるダブル見学会を行います。「平塚H邸」を中心に2棟の見どころを解説します。

4年前に当社で家を建てられた時に敷地を分割してあったK様は、既存家屋を壊さずに残していましたが、娘夫婦が新たに家を建てることになり、遂にこれを解体する運びとなりました。また以前から両世帯の交流は活発で、今後も協力関係が続くことから、これは「分棟型」の二世帯住宅と言うこともできます。

新築のH邸は、従来の神奈川エコハウスのイメージとは異なるデザインを身にまとっています。

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外壁は黒いガルバリウム鋼板、室内は白い壁と天井がどこまでも広がり、柱や梁が少しも見えません。これは準耐火構造にしなければならない敷地条件のためでもありましたが、細部のデザインをいつもと変えるなど工夫を凝らして、建て主の望む「シンプルモダンの住まい」を実現しました。

建て主の希望するイメージは親世帯の家とは大きく異なり、親の勧めがあったとはいえ、当社で家を建てることに不安はなかったのでしょうか(笑)

実は建築に関心の高い奥様(K夫人)とは入居後もしばしば、私が設計している家のことや奥様が旅行で見て来た建築について、話をする機会がありました。4年前の家づくりの時は、建築空間に対する「こんな風にしたい」という要望を、あの手この手で叶えた経緯もあります(笑) そんなことから、「いつものスタイルとは違っても岸さんに任せれば大丈夫」という信頼感のようなものがあったのだと思います・・・
もちろん、大工の腕や人柄をはじめとした当社の施工力を、K様が認めてくださっていることは言うまでもありません。

H邸の家づくりの中心も奥様で、前述の全体イメージ以外にも幾つかの明確な希望がありました。暮らし方については、娘さんのお友達や「ママ友」とのホームパーティーが多く、これまでは常に他所の家に呼ばれていたため、ホームパーティーのできるリビングが希望でした。

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広いリビング・ダイニングに加えて畳コーナーを設け、大勢集まっても各々が居場所を持てる空間になっています。この畳コーナーはベンチとしても使えるように小上がりになっていて、畳の下に引出し式の収納が隠れています。

また寒さが苦手ということで、リビングに蓄熱暖房機を設置しました。

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これは深夜電力によって内部に積まれたレンガに熱を蓄え、日中から夜にかけて放熱する暖房機です。薪ストーブなどと同じで、輻射熱によって床、壁、天井の表面温度を上げるため、室内をムラなく暖めることができます。

対面キッチンはカウンターバーの様な使い方を想定し、カウンター幅を広くして小ぶりのペンダント照明を吊下げています。

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奥様の希望で、ワインの瓶などをお洒落に飾れる棚も造りました。奥に見える赤い引戸も奥様の見立てです。戸の向こうにある奥様こだわりの洗面室は、見学会に来ての「お楽しみ」です。

ご主人からは「水槽を飾る場所と水替えのできる流しがほしい」という要望だけでしたが、この特異な条件があったことで、この家に遊び心が加わりました。

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「場所はどこでもいい」という控えめな希望でしたが、LDKと連続しながら少し落ち着けるこの場所は、間違いなくこの家の特等席です。
また敷地の北側には栗畑が広がり、遠くに大山を望むことができます。1階では玄関や畳コーナーの窓から栗畑を眺めることができ、2階の階段ホールに設けた横長窓は、遠景の大山と近景の新幹線を絵葉書のように切り取ります。この景色は現地でお確かめください。


一方、親世帯であるK邸は、柱や梁が適度に見えるだけでなく、造り付けの収納や無垢の手づくり家具も多いため、木質感あふれる室内空間になっています。

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通常エアサイクル工法では見せられない屋根垂木を、ふた手間かけて室内に現わした勾配天井。キッチンに立つ人と目線を揃えるステップフロアダイニング。南北の通風を確保しながら視線を遮る階段室の格子壁。和風旅館の客室をイメージした非日常の寝室。どれも遊び心がいっぱいの工夫です。

またLDKから和室、デッキ、庭へと連続する広がり間取りのほか、キッチンから家事コーナー、洗面室へと回れる動線など、間取りや使い勝手の面でもK様納得の空間ですので、建物を見るためだけではなく、住まい手の話を聞きにぜひご参加ください。

岸 未希亜

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